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クラーク(RT)
クラーク(RT)
個々の患者さんの背景は分からないので、まずは一般的なことです。
肺がんの原発性所見を見る際にMRIは向いてません。これはMRIが空気が多いところは画像が歪みやすく、画像化に向いていないためと、画像化した際の労苦と病変検出能力が数秒でとれるCTに上回らないためです。
次にMRIができないパターンがあります。体内金属がMRI対応ではない、閉所恐怖症があるなどです。
そして、腹部CTということなので、原発の浸潤だと1番と2番目の回答が適合しますが、転移の話だとまた変わります。
組織の画像コントラストは圧倒的にMRIが良く、MRIができれば望ましいです。しかし単純CTを選択する理由として、金属などの理由によりできない場合があることや、単純CTの簡便さがあります。
また、転移を見る際にまずはリンパ節の大きさの拡大をみますが、これは単純CTで判別可能です。
肺がんの原発を見る際に肝臓を含めて数回CTをとっていることが予想され、新たな肝臓などへの転移層を見るさいに、造影剤を使わなくても過去比較によって判別できる可能性は高いです。
さらにごくわずかな転移を判別したいときにはMRIでも造影剤が必要になります。ここでCT造影剤のヨードに対するアレルギーを、MRI造影剤のガドリニウム製剤のアレルギーに繋げるかは微妙なところですが、臨床医の中では避ける傾向があります。
厳密に言うと、副作用の発生に関するオッズ比は何らかのアレルギーの保有により高まるとされるので、ヨードに対するアレルギーも「アレルギー」全般に含めているという意味で避けられます。
あと、化学療法を含めて転移を経時的に追う際は、同じ画像で比較していきたいです。そう言った意味ではより簡便なものを選択する傾向がありますし、MRIは全身状態が悪いと画質が維持しづらいため、フォローアップには不向きです。
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さて、ここまでは割と現場思考でポジティブに説明しましたが、次はエビデンスに照らし合わせネガティブに説明します。
画像診断ガイドライン2021, p247「腎機能や肝機能が低下した患者の肝腫瘍の診断において推奨される画像検査は何か」の項目においては非造影MRIが推奨、とされるためアレルギーでも同様に当てはめても妥当と考えます。
また、画像診断ガイドライン2021, p267「肝転移(転移性肝腫瘍)の診断においてEOB-MRIは推奨されるか?」の項目においては強く推奨する。とあります。
つまり、小括すると、(検査目的が何であるかが最も重要だが)仮に転移検索をするのであればMRIをするべきだが、単純CTを選択されても経過フォローを考慮すると妥協案として臨床現場的にはありえる話であるということです。
あとはナラティブに、MRIは長いしうるさいからいやだとか、経済事情的に安い方でとかいう選択はあるのかもしれませんが。
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