育休に入り、若手・新人教育について思うこと

毎度ながら久々に登場する薬剤師ぽりまーです。現在は育児により在宅薬剤師をお休み中なので、これを機にいろいろ書きたいなと思いつつ、0歳児とフルリモートの旦那と過ごす毎日になかなかタイミングがつかめずにいます(汗)。今回は、後輩指導について3人のメディッコメンバーがコラムを書いてくれたので、それに続こうと思います!!

私は、薬学部に行かないなら教育学部を目指そうかと思っていた程度には人に教えることに興味がありました。しかしその割に、仕事でまともに新人指導をした経験といえば、新卒2年目の時と産休前の半年間という程度しかありません。在職中の会社には中途、しかもブランク付きで入社したので、なんなら年下の先輩がいっぱいいる状況。でも、だからこそ見えた景色というのもたくさんある気がするので、このコラムではそんなことを振り返りながら、ぼちぼち書いてみます。

自分から見た最近の若手

30を過ぎて入った今の会社は、見学や面接の時から「子どもがほしい」ということを全面に出して内定をもらったので、有言実行にほかならないのですが、入社してたった1年半足らずで産休に入りました。そんな短い期間ですが、1~2年目と一緒に仕事を教わりながら(とはいえ、初期からしっかり担当施設を渡されましたが)、自分より1~2個下の中堅社員(大先輩!!)からは目に見えて気を使われ、どちらかというと新卒側と仲が良いというかなり絶妙なポジションにいました。

巷では相変わらず「最近の若者は~」みたいな議論を見かけますが、私が今の会社で接した新人は皆めちゃくちゃしっかりしていて、社内コミュニケーションにおける言葉遣いは立派だし、仕事に対する姿勢も甘えた部分がほとんど見えず真面目で、自分のポンコツ新人時代とはまるで比べ物になりません。あまりに優秀なので、初めて飲みに行った席ではちゃんと若者っぽいところが見れて、なんだか安心した覚えがあるほどです(笑)。

そんな中、新年度を迎えて入社してきた新人5人のうち2人の教育係を担当することになりました。

新人指導のときに考えていたこと

自分の新人時代を思い出そうとしても、覚えていることといえばほとんどが先輩や本部社員にしこたま飲みに連れて行ってもらったこととか、理不尽に怒られたこと、激務の合間をぬって友達と遊び回ったことなので(本当に何をしていたんだお前…)、世代も違う今の新人の役に立つようなことがほとんどありません。正直、仕事なんてちゃんと向き合っていればやっていくうちに勝手に覚えると思っているし。でも1つだけ、“新人”という一時期特有のしんどさ、みたいなのは当時の私がよく感じていたので、「極力損をしないふるまい」を意識して伝えるようにしていました。

教育係といっても、一緒に行動できるのは引き継ぎ施設の仕事をやっている間だけなので、教えるタイミングは主に移動中の車の中でした。教えたことはどれも本当に基本的なことで、例えば投薬する時にバイト用語は使わないように今のうちから気を付けたほうがいいだとか、社内連絡ツールがチャットだったので、「初動でまずはレスポンスすること」を徹底的に叩き込んだりとか(笑)。特にレスポンスに関しては、「早くしたほうがいいよ」だけじゃなくて、反応や指示が遅れると自分の業務や周りの人にどういう影響が出るのかを説明して、スマホ通知の設定やスマートウォッチとの連携まで教えました。

あとは、施設業務は利用者さんよりも看護師や介護士とのやり取りがメインなので、まず最初はとにかく話を聞くこと、そしてその話を往診で医師に伝えるときに必要に応じてアシストできるようポイントを伝えていました。施設スタッフは24時間利用者さんのことを見ているので、医師に相談する時に事細かに説明し、どうしても話が長くなりがちです。こで薬剤師が聞き役に回りすぎると、往診時間が延びていろいろなことに影響するため、そうなる前にうまくまとめる必要があるのです。

ここまではいいのですが、難しかったのは「患者さんにとって何が最良なのか」という部分。我々は薬剤師なので、どうしても薬学的アプローチが主軸になってしまいますが、どんな時でも薬の力だけでどうにかしようと思ってはいけません。特に高齢者は状態に応じて薬を減らしたり、使わない選択肢をとる場面も往々にしてありますが、薬剤師1年目にはなかなかそういった場面の想像がつきにくいみたいです。「こればっかりはやっていくうちに徐々に理解してもらうしかないのかなぁ…」と思い、引き継ぎが進んでからはとりあえず間違っていなければ思うがままにやってもらうこともありました。説明だけじゃ教えられないことって、たくさんありますよね。

育休中の今、思うこと

自分なりにいろいろ考えながら新人指導をしていたのですが、長い社会人生活、最初が楽しくないとこの先しんどいだろうなと思いました。これが正解なのかはわかりませんが、移動の空き時間でマックに寄ったりクレープを食べたりして、業務外のこともたくさん話して、私の妊娠も、管理者の次に伝えたのが教育担当の2人でした。そうやって同じように時間を過ごしていたはずですが、片や新人の中で上長からの期待値が1番高い子に成長し、もう1人は私の手を離れてからの業務量に追いつけず、フェードアウトしてしまいました。新人は先輩が1人で教えるわけではないし、向き不向き・得意不得意もあるので、同じように教えてもこれだけ対照的な結果になることもあるのだなぁと感じた貴重な経験でした。

ちなみに私はというと、幸い産後の経過は順調で、子どもも元気に育っています。正直なところ、出産前に積んでおきたかった経験としては十分なものを得られたし、「仕事が何よりも大事!」というタイプでもないので、休めるだけ休んでその間にこの先の働き方についてはゆっくり考えようか…とも思っていたのですが、今は一転、とりあえず1年でフルタイム復帰して2人目を目指すかどうかでまた考えるか…という心持ちになっています。

というのも今の会社、女性正社員として産休・育休を取得したのはなんと私が初めてで、後に続きたいと思っている後輩ちゃんたち(いや、勤続年数的には先輩も多いのだけど…)が私の動向を見守っているらしく(笑)、会社には恩もあるので、1回は戻らないと仲良くしてくれている後輩への示しもつかないしなぁ~という感じで考えています。

前向きになれる限りは、頑張ろうかな!!身近なロールモデルは本当に大事なので。自分がこれから挑戦したいことや大事にしたいことを失わないようにしつつも、後輩の人生をこれからも応援していきたいと思います!!

執筆者
ぽりまー(薬剤師)

調剤薬局で3年間働いてから転職し、医療メディアの編集者を4年半経験して在宅現場に復帰。臨床現場のリアルな声を届けられる編集を目指している。

Twitter:@care_nekko