理学療法士と聞き、患者さんに対してどのようなリハビリをしているイメージがありますか?
よく持たれるものとしては、関節可動域訓練、筋力訓練、動作訓練が挙げられます。
今回は動作訓練のなかでも『歩行』について取り上げてみようと思います。
歩きからわかる、適した歩行補助具
現在、歩行補助具(メディッココラム)といっても様々な種類のものが世の中に出回っています。
たとえば、杖(T字杖、4点杖、松葉杖など)、歩行器、歩行者、車椅子などがあります。
理学療法士として患者さんの歩行訓練を行っていると、ふらつきの程度や歩行の耐久性などから、歩行能力に適した歩行補助具をすぐに思い浮かぶことが出来ます。
病棟で歩きが不安定だと感じる患者さんがいれば、ぜひ理学療法士に声をかけてください。
歩きだけでなく、生活環境もみている
歩行訓練では、『歩く』以外にも、方向転換、休憩する時に座る、立つなどの動作が含まれてます。
また、これらは、床の状況、廊下の幅、すれ違う人といった周りの環境に影響されています。
そのため、理学療法士は歩行訓練のみを行っているのではなく、そのなかで退院後の生活環境についても考察を行います。
退院後のトイレの環境、床面の状態、手すりの有無、廊下の幅…様々な生活環境について言及することができます。
私は、これらは回復期の理学療法士に得意な人が多い印象を持ちます。
歩きからわかる、退院先?
私が勤務していた病院は2次圏域の病院でかなり地方で、高齢者の患者さんが多くいました。
家から入院してくる人、施設から入院してくる人などがおり、退院先も多岐に渡ります。
施設には、老人保健施設や特別養護老人ホーム、ショートステイ、ケアハウス、サービス付き高齢者住宅などのたくさんの種類があります。
そして、施設によって介護体制が異なるため、介助量に合わせて退院先を選択する必要があります。
そのとき、判断材料の1つになるのが『歩行』です。
自立歩行可能なのか、見守りで歩行可能なのか、少しだけ介助がいるのか、たくさん介助がいるのか。
これらが重要になり、歩行状態で退院先が左右されます。
しかし、理学療法士が1人で退院先を決定することはありません。
最終的には、本人、家族、ソーシャルワーカー、看護師、ケアマネジャー等が中心になって、退院先を決定していきます。
理学療法士がこれらの職種に適切なタイミングで情報提供することで、退院先が円滑に決まる場合もあります。
最後に
今回は『歩行』についてコラムを執筆しました。
歩行訓練には様々な要素が含まれていることもあります。
今回の記事を読んで、少しでも表には見えない『歩行』についての考え方を知ってもらえると大変、嬉しいです。