医療に携わる多くの方が「チーム医療」という言葉を耳にしたことがあると思います。医療を提供するにあたっては、多くの職種のスタッフが関わっていますよね。しかし、自分の職種に目を奪われがちで、他の職種の方がどのように働いているかを注目する機会は少ないのではないでしょうか?今回のコラムでは、現役看護師が質の良い医療を提供するために必要な「チーム医療」についてお伝えします!
そもそもチーム医療とは何か?
チーム医療推進協議会によると、チーム医療とは下記のように定義されています。
「一人の患者に複数のメディカルスタッフ(医療専門職)が連携して、治療やケアに当たること」引用:チーム医療推進協議会「チーム医療とは」(http://www.team-med.jp/specialists)
私が看護学生だったころは、病院で一番権威がある医師の指示が全てであり、一方的な指示通りに看護師や理学療法士などが働いていると思っていました。しかし、実際に働き始めると、患者さんに医療を提供するときに医師一人で出来ることが実は限られており、医師を含めた全てのスタッフが協力し合っていることを知らされました。
チーム医療に関わるスタッフとは?
チーム医療に関わるスタッフはどのぐらいいるのかピックアップしてみました!
- 医師
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語療法士
- 臨床検査技師
- 診療放射線技師
- 臨床工学技士
- 薬剤師
- 管理栄養士
- 医療ソーシャルワーカー
- 事務職員
このほかにも施設によっては保健師、歯科衛生士、臨床心理士(公認心理師)などもいらっしゃると思います。一人の患者さんにこれだけ多くのスタッフが関わり、チームとなって患者さんに医療を提供しています。患者さんの立場からすると、多くのスタッフが関わることで安心感を受けれているのではないでしょうか。また、他職種がどのように患者に関わっているのか注目してみるとあなたの視野が広がるかもしれません!
チーム医療における自分の立ち位置を知ろう!
私が伝えたいことは「自分の職種=その道のスペシャリストであり、誇りを持って仕事をしてほしい」ということです。治療方針の決定、手術などで病気を直接的に治療するといった行為は医師だけが行えるものですが、医師だけで全ての医療を行えるわけではありませんよね。看護師はリアルタイムな状態の変化をつかみ、患者さんやご家族の思いを汲み取ることが得意です。また、理学療法士は患者さんの効果的なリハビリ介入方法を考えつつ、ADLの変化に気が付くことが多いものです。
各スペシャリストがそれぞれの専門的な知識によって患者さんに関わっています。あなたが気付いた些細なことでも、他の職種では気がつけないことかもしれませんし、その気付きが患者さんを1日でも早く良くするかもしれません!スペシャリストとして誇りを持って日々の業務に取り組んでいただけたらなと思います。
カンファレンスを積極的に開く意識を持とう!
このように病院または施設には様々なスペシャリストが存在します。そこで、チーム医療を実践していくためには、まずはカンファレンスをする時間を設けてみましょう!時間や場所を決めて中身が濃いもの、はたまたちょっとした隙間時間でも構いません。患者さんに関する意見を話し合うことは、全てカンファレンスになります。そう考えると、カンファレンスは誰でも開くことができます。多職種のスペシャリストの意見を話し合えることは、そこにいるスタッフにとってメリットしかありません。そして、カンファレンスを通して信頼関係を深めることで、さらに質の良い医療を提供できるチーム医療が生まれるのではないでしょうか。
おわりに
チーム医療では全職種が主役となって働いています。現在多忙を極めている医療現場ですが、チーム一丸となってこの危機を乗り越えていきましょう!お忙しい中、最後まで御覧いただきありがとうございました!
患者さんやご家族、医療スタッフから信頼されるべく新人から2次救急のICU病棟で日々邁進中。元AHA BLS ACLSインストラクター、心電図検定2級取得。また温泉ソムリエの資格を持ち、全国の温泉地やスーパー銭湯を訪れている。 Twitter:@きんたろ@温泉ソムリエ×看護師