血圧は簡単に測定できるバイタルサインの1つで、医療現場では頻繁に測定されています。
今回は医療機器の専門家である現役のMEが血圧測定にまつわる豆知識と測定時の注意点を教えます。
※ここで取り扱う「血圧」とは“動脈圧”のことを指します。
人間の体も実は電気回路!血圧の式はオームの法則と一緒
まず血圧とは「血管の内圧、すなわち血管壁を押し付ける圧力」です。
血圧は様々な要因によって決まりますが、皆さんは血圧に式があるのをご存知ですか?
血圧の式は「血圧=心拍出量×末梢血管抵抗」で表します。
一方、オームの法則は「電圧=電流×抵抗」で表せます。
どこか似ていませんか?オームの法則では、電圧は電流(電荷の流れる量)が多ければ多いほど高くなり、抵抗(電流の流れにくさ)が高いほど電圧は高くなります。
同様に、血圧は心臓から拍出される血液(心拍出量)が多ければ多いほど上がりますし、動脈硬化などで末梢血管の抵抗(血液の流れにくさ)で決まります。
こうして考えると人間の体は一種の電気回路としてみることができます。
血圧計の巻き方によって血圧は変化する
実際に測定する際、皆さんはどのように測定しています
血圧は測定する人のカフ(マンシェット)の巻き方次第で簡単に変化してしまいます。
カフを緩く巻くと隙間を埋めるために余分に空気を送り、実際のカフが締め付ける圧力が減ってしまい、正常に巻いた時よりも血圧が高めに出てしまいます。
逆にカフをきつく巻くと、カフの締め付け圧がゴム球から送る圧力に加わるために血圧が低く出てしまうことがあります。
血圧計のカフを巻く際は、きつすぎず、緩すぎない「指が1~2本入る程度」にしましょう。
まとめ
血圧はオームの法則「電圧(血圧)=電流(心拍出量)×抵抗(末梢血管抵抗)」と同様に考えると分かりやすいです。
この式を覚えておくことで、薬や治療、処置などで血圧がどのように変化するかイメージすることができます。
血圧計の巻き方は次第で正しい値が出ないことがあります。カフは「指が1~2本入る程度」のきつさで巻きましょう。
透析技術認定士、ME1種技術者。専門は慢性血液浄化。学会発表、論文作成など学術にも力をいれている。データ分析担当。