集中治療室をはじめ特に急性期の患者さんを受け持つ上で重要なことは、急変の対応が上手にできることではなく、急変させないことです。
今回は集中治療室で働くNsが、急変させないために意識していることを解説します。
小さなサインが必ずある
急変に至るまでには必ず何らかのサインがあります。
それはバイタルサインやモニターの数値の変化だけではなく、仕草や姿勢、表情といったボディランゲージです。
例えばいつもと違ってボーっとしている表情や、いつもはシャキッと座っているのに今日は座り方に力がないなどです。
重要なポイントは「いつもと違うかどうか」です。
これに気付けると「元気がなさそうですがどこか調子が悪いですか? 」のような声を掛けることができます。
小さなサインはパッと見ての印象で良いので、「何か違うかも」という感覚を大事にしてください。
バイタルサインやモニターの数値に変化が現れた時はすでに急変となっている場合が多いです。
患者さんの「いつも通り」を知る
患者さんの「いつもと違うかどうか」を知るためには、患者さんのいつも通りを知ることが重要です。
特に高齢の患者さんは慢性的にいろいろな症状を持ち合わせていることが多く、注意しなければいけないのは、今ある症状がいつもあるものなのか、いつもないものなのかです。
例えばCOPDで慢性的に呼吸困難感がある患者さんが、いつもと同じくらいの息苦しさなのか、いつもより息苦しいのかでは対応が変わります。
症状の悪化や急性の症状があることは、患者さんにとって「いつも通り」ではないので、これも変化のサインとして感じ取る必要があります。
そのためには既往歴や前日までの様子などの事前の情報もとても重要となってきます。
逆に次の日の受け持ちスタッフのために、「いつも通り」なのかどうかを意識して記録を残すことで情報共有の質は上がると思います。
小さな変化を見逃さない観察
小さな変化に気付くためにパッと見るといっても難しいかもしれません。具体的に僕が何を見ているかを挙げます。
・目の開き方(目に力があるか、視線が合うか等)
・表情(活気があるか、穏やかな表情か等)
・顔色(血色は普段とどうか、青白くないか等)
・姿勢(リラックスしているか、力が入っているもしくは脱力等)
・息づかい(安静な呼吸か、肩や胸が動く呼吸か、早さはどうか等)
これらについていつもと違うところがあれば患者さんに問診したり、バイタルサインを測定したりして、急変のリスクを予測した質の高い観察ができると思います。
まとめ
急変させないためには、患者さんの「いつも通り」を知り、小さなサインを見逃さないことです。
患者さんの「いつも通り」を知るための情報収集、いつもと同じかを判断する観察、そして観察して変化があるかどうかの判断、これが出来ると急変に至るまでの「何か」に気が付けるはずです。
明日からの仕事で意識してみてください!
急性期病院のICUで看護師をしている。さまざまなイベントで司会進行をしてきた経験があり、メディッコでは司会兼ツッコミ担当。そしてみんなの兄貴!