メディッコのリアルイベント(メディッコラボ)で開催された座談会の第1弾!「多職種連携で1番大事なこと」をテーマに、寺岡先生とメディッコメンバーで話し合いました。その様子を一部ご紹介します!
登壇者
大前(Ns)
元芸人の看護師。トーク力を武器に本座談会の進行を務める
寺岡先生(OT)
大学教員を務める作業療法士。信念対立解明アプローチに関する研究を行っている
かなこ(Ns)
手術室で働く看護師。病棟経験もあり!
タサモ(ME)
血液浄化・透析を専門とする臨床工学技士
たみお(PT)
慢性期病院で働く理学療法士。今年から主任となり、事務員との連携が増えた
教えて! 最近の多職種連携エピソード
大前(Ns)
今回は、「多職種連携で1番大事なこと」は何だろう? ということで、話していきましょう。まず、最近の連携に関するエピソードを教えてください。
先週のことですが、深夜3時頃…、なんと透析室が水没しました! 配管が抜けたことで透析室の3分の2が水浸しになってしまい、事務員、看護師、リハビリスタッフなど、その日夜勤だった人たちが総動員で水をかき集めました。雑巾やモップで絞りまくり、6時間以上かかりましたが、なんとか始業時間までに復旧させました・・・!
タサモ(ME)
大前(Ns)
いきなりすごい連携が出ましたね! 素晴らしい。寺岡先生は最近何かありましたか?
てらおか(OT)
私が今働いている教育現場にも、さまざまな職種がいますが、最近の研修で、その様を料理に例えた話を聞きました。「目玉焼きの焼き方でも人それぞれ違う」と言われ、看護師さんから私とは違う目玉焼きの作り方を教えてもらったんです。そのとき、これが連携のベースなのかなと感じました(笑)。
大前(Ns)
なるほど。日常生活に多職種の多様性を落とし込んだ話ですね!
自分の役割として意識していることは何?
大前(Ns)
今回の座談会に参加している皆さんは、それぞれ異なる職種ですが、専門職として普段何を意識していますか?
私は、手術室看護師として、医師が手術に集中できるように、そして手術の流れを止めないように、次に使う器具を予測して動くことなどですね。以前病棟で働いていたときは、患者さんが医師に言えなかったことや言いにくいことを聞いて、それを医師に伝える架け橋という役割を意識していました。
かなこ(Ns)
大前(Ns)
僕は臨床工学技士なので、基本的には医療機器の扱いがメインです。そのため、医療機器を安全に使えるようにすることで、患者さんに安心を提供します。なので、機械と患者さんの架け橋とも言えるでしょうか。
タサモ(ME)
大前(Ns)
二人とも、患者さんとの架け橋になることを意識しているのですね。リハビリスタッフは、現場でどのようなことが求められていますか?
僕は、普段外来の患者さんとよく関わるので、高齢の患者さんから「痛みを取ってほしい」とか「力が落ちてきたので何とかして欲しい」などと言われることが多いです。要するに、リハビリの効果として動作や生活の改善を求められていると思います。作業療法士はどうでしょうか?
たみお(PT)
てらおか(OT)
患者さんから見ても、理学療法士さんは役割が明確ですよね。でも、作業療法士はわかりにくいのではないかと思います。私はこれが1番問題だと思っていて、実際、作業療法士自身も自分の役割をひと言ではなかなか説明できないんですよね。「生活を支援する」と言っても、看護師や社会福祉士などにも同様に生活の支援は求められています。そのなかで、作業療法士に特化していることは何かと考えると、現状では不明瞭なので、今「OBP2.0」という新しい理論を作っているのです。
連携は助け合いの精神から!
大前(Ns)
では、もう一歩踏み込んでいきましょう。今までで、他職種から助けられた経験はありますか? 何かエピソードがあれば教えてください。
パッと思い当たるのは、患者さんへ説明するときですね。僕は若造だと思われて、高齢の患者さんに話をしっかり聞いてもらえないときがあります。そうなって困っていたときに、ベテランの看護師さんが後ろからフォローしてくれました。
タサモ(ME)
見た目で話を聞くか聞かないか判断されるのは悲しいですよね。
かなこ(Ns)
大前(Ns)
てらおか(OT)
医療者と患者と言えど、人と人ですから、そういうこともありますよね。そもそも、医療の現場に限らず、助けてくれる人は助けてくれるし、助けてくれない人は助けてくれないんです。
タサモ(ME)
てらおか(OT)
例えば、看護師さんにも連携しようという姿勢を表に出してくれる人もいるし、そうでない人もいますよね。理学療法士さんのなかでも、OTを批判する人もいれば、OTすごいよねって言ってくれる人もいます。
たみお(PT)
てらおか(OT)
ありがとうございます(笑)。色んな人がいるので、助けてくれるのかどうかは、信念対立の有無にかかわらないこともあるということです。
相手をリスペクトできる人でいよう
大前(Ns)
そうですよね。職種によって得意分野が違って、知見の乏しい部分は他職種がカバーしています。お互いに助け合っていけば、おのずと良い連携が取れると思います。
たみお(PT)
てらおか(OT)
そうですね。相手の状況を配慮して接することができる人は、多職種連携に強いと思います。お互いに協力しましょう、という姿勢を示してくれると、連携しやすいですよね。逆に、自分の職務遂行を優先する人は、たとえ同職種でも連携が難しいと思います。
大前(Ns)
それって、他職種の場合はお互いの業務を理解していないと難しいですよね?
てらおか(OT)
もちろん、他職種への理解も大切ですが、感覚的に状況を把握できるかどうかのほうが重要ですね。具体的な仕事内容を知らなくても、その人の状況を察することができる人なら連携しやすいと思います。
大前(Ns)
なるほど。職種同士の相性などではなく、人として接するところから連携は始まっているということですね。
“患者さんファースト”の医療を
大前(Ns)
ところで、看護師は「忙しそう」というイメージを持たれがちですが、看護師同士ではどうなのでしょうか。
そうですね。病棟は本当に忙しいですし、看護師同士はそれをわかっています。でも、手術室の仕事はそうもいかなくて。病棟の準備が遅れて、それがたった5分でも、手術全体の進行が遅れるような影響が出る場合があるんです。手術室看護師の立場からすると、「こっちの大変さもわかってほしい!」と思うことがあります(笑)。
かなこ(Ns)
大前(Ns)
たしかに、相手の状況が理解できないと、そういった信念対立が生まれやすくなりますね。お互いに配慮することが大事だと思います。
あまり関わっていない職種の忙しさは、実際のところよくわからない部分もありますよね。現場で関われる時間は限られていますから、お互いが理解し合うことは、なかなか難しいと感じています。でも、全ては患者さんのためですよね。
タサモ(ME)
かなこ(Ns)
大前(Ns)
たみお(PT)
それぞれの職種で役割があると思います。私たち臨床工学技士は、医療機器を通じて患者さんを良い方向へ導いていく、というところが1番ですね。
タサモ(ME)
私もタサモさんと同じです。患者さんはよくなるために入院しているので、そのために私たちも頑張っています!
かなこ(Ns)
てらおか(OT)
その通りだと思います。どの職種も患者さんの命を預かっています。長く働いているとその傾向が出やすくなりますが、忙しいなかで業務遂行が目的となり、無意識に患者さんの気持ちが後回しになっていることってありませんか?
大前(Ns)
てらおか(OT)
患者さんの気持ちを置き去りにしてしまうと、自分たちの都合による信念対立も増えて、連携しにくくなると思います。業務中、他職種とうまく連携できていないなと感じたら、「それって患者さんのためになるのですか?」と一度聞いてみるのもよいと思います。
まとめ
どの職種も「患者さんのため」を思って毎日頑張っているはずなのに、忙しさや人間関係に気をとられていると、本来の目的を見失ってしまうこともあります。対立を防ぎ、お互いが気持ちよく仕事するためには、理解と配慮が必要だということがわかりました。患者さんのことを1番に考えるということが、多職種連携で1番大事なことですね。
メディッコラボを振り返って…
寺岡先生がイベント補足する動画をアップされています。他にもたくさんの勉強になる動画がありますので、是非ともチャンネル登録してくださいね。
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