皆さんは、臨床工学技士の仕事内容をご存じでしょうか?
臨床工学技士は生命維持管理装置の操作及び保守・点検を行う医療系国家資格で、病院の様々な場所で仕事をしています。
そんな臨床工学技士ですが、今回は手術室に関わる臨床工学技士の仕事を紹介していきたいと思います。
手術室は宝の山?手術室の医療機器
病院の中にはたくさんの医療機器があります。
例えば、集中治療室には人工呼吸器や除細動器、一般病棟には輸液ポンプや生体情報モニターがありますね。
では、手術室にはどのくらいの医療機器が活躍していると思いますか?
病院によって手術の種類や数が違うので明確な数は分かりませんが、数えきれないほどの医療機器が存在しています。
例えば、整形外科の手術を全身麻酔管理で行った場合に使用される医療機器を考えてみましょう。
全身麻酔管理なので麻酔器、輸液ポンプ、シリンジポンプはもちろんBISモニター(脳波を数値化して覚醒度合いを測るモニター)や生体情報モニターも必要になります。
手術手技に必要なものとしては電気メス、自己血回収装置などあります。
電動で動く手術台や神経モニタリング装置も医療機器です。
そしてこれらの機器はとても高額です。
また、これらの医療機器は特定保守管理医療機器といわれ、その修理や管理に専門的な知識と技能が必要とされる機器です。
そんな手術室内の機器管理を行っているのが臨床工学技士です。
病院によっては臨床工学技士の人数が足りないため、すべてをまかなえていない場合もあるようですが、手術室は今後も活躍を期待できる臨床工学技士にぴったりな職場の一つと言えるでしょう。
最新機器は突然に
先ほども紹介したように、手術室には様々な医療機器があります。
もちろんそれらの機器を保守、管理するにはそれぞれの医療機器に対しての専門的な知識と技術が必要になります。
そして、それらの知識や技術を習得するのは簡単な作業ではなく、機器によってはメーカーの講習が必要になる場合もあります。
ですが、医療機器は次々と最新のものが発売され、その都度管理体制を整える必要が出てきます。
また、機器は永久的に使えるものではないため修理不能になると新しい機器を購入しなければいけません。
その時にも知識と技術のアップデートが必要になるため、医療機器の進化と共に臨床工学技士は成長していく必要があり、常に備えていないといけないのです。
まさに、臨床工学技士の腕の見せ所ですね。
手術室の花形?人工心肺
手術室で働く臨床工学技士の仕事の一つに「人工心肺」があります。
人工心肺とは心臓血管外科手術を行う上で必要になる方法の一つで、人工肺と血液ポンプによって心臓と肺の役割を医療機器によって代替する装置です。
主に臨床工学技士が保守・管理及び手術中の操作を行います。
人工心肺装置は機器本体も大掛かりで、心臓外科手術自体もダイナミックなイメージがあるため手術室の中では一目置かれた存在になっている病院も多いのではないでしょうか?(実際に大量出血するリスクは大きいです)
また、日本以外の国では臨床工学技士以上の学歴が必要となる場合が多い事から、人工心肺業務自体を特別視する人もいます。(日本の臨床工学技士のような幅広い分野をカバーする職種は世界的に珍しいです)
人工心肺業務は手術室で働く臨床工学技士の代表的な存在となる場合も多く、実際に手術室内の機器管理業務を人工心肺装置から徐々に広げていったケースも少なくはないでしょう。
ですが、業務にはそれなりのリスクがあることや、体力勝負な部分もあるため敬遠されがちな仕事内容でもあります。
そんな人工心肺業務は、安全装置の設置や技術の進歩により今でも進化を続けています。
今後も臨床工学技士の代表的な手術室業務の一つとして活躍していくでしょう。
新しい分野の開拓
現在の手術室には臨床工学技士がなくてはならない業務がまだあります。
最近では導入している施設が多くなってきた手術支援ロボットは、導入前から積極的に臨床工学技士が関わり、保守、管理、トラブル対応をすることが必要とされているケースが多いです。
また、術中ナビゲーションや神経モニタリング業務に携わる臨床工学技士も増えており、手術室での活躍の場は広がりを見せているようです。
新しい治療方法の登場で、より良い効果が期待できる可能性がありますが、その陰には最新の医療機器とそれを管理する臨床工学技士の姿があるのです。
おわりに
今回は、手術室で働く臨床工学技士の業務を簡単に説明しました。
今や手術には麻酔器や輸液ポンプ、シリンジポンプ等の医療機器は必要不可欠であり、手術が安全に円滑に行うためには、臨床工学技士は欠かせない存在です。
この記事をきっかけに臨床工学技士はどんな人なのか?どんな仕事をしているのか?を知ってもらえたら幸いです。