病院や医療の現場では多くの人と接する機会があります。そのため、同じ医療者や患者さんからのハラスメントが起きる可能性があります。
同僚や仲間がハラスメントを受けている場合には相談できる環境が大切です。しかし、相談を受ける際には対応を間違えると被害者がさらに傷つくことにもなります。そこで今回は、ハラスメントの相談を受ける際の注意点を考えてみましょう。
秘密の厳守
相談を受けるときにまず注意したいのは、相談の内容を他者に漏らさないということです。ハラスメントを受けている場合には相談することも大きな勇気が必要になります。そこで安心感を持って相談を受ける環境を作りましょう。
相談者の意志の尊重
相談を受けたときにはこちらの考えを押し付けたり、こちらの価値観や倫理観で割り切った姿勢は避けましょう。
相談者の意志、意向を尊重し、相談者が安心して打ち明ける信頼関係を築きましょう。また、ハラスメントを受けていると精神的に追い詰められていたり、傷ついた状態で相談にくる事が多くなります。相談者が「必死の思い」を持って相談していることを頭において対応しましょう。
相談者を二重に傷付けない配慮
先にも述べましたが、相談者は精神的あるいは心理的に傷ついた状態で相談にきます。対応によってはさらに傷つけてしまうこともあります。
特に「あなたにも落ち度があったんじゃない?」「気を付けてれば避けられたんじゃないの?」「抵抗できたでしょ?」等の発言は二重に傷つけることになります。まずは、相談者がその場で精一杯の対応をしたという前提で相談を受けましょう。
誇張・矛盾した話への対応
相談者は、本人の心理的な現実にもとづいて話します。場合によっては誇張して話していたり、矛盾して話している場合があります。
疑問に感じた時には別の角度から話を聞いたり、違う表現で聴いてみることで確認できます。ですが、その誇張・矛盾を指摘したり、追及すると信頼関係が崩れてしまうことになります。まずはそのまま受け入れる姿勢が大切です。
おわりに
ハラスメントを受けた後に、第三者に相談することはとても勇気のいることです。否定したり、二重に傷つけたりすることが無いよう注意して対応しましょう。相談をすることで気持ちが落ち着き満足することもあります。相談者のペースで話を聞き、相談者が話すまで、気持ちの整理を援助する心で対応しましょう。
お互いに困った時には一人で悩まず、お互い相談しあえる関係を築きましょう。
手術室、急性期病棟、ICUを8年へて大学教員となる。現在は基礎看護学を担当。プロ格闘家としてのみならずコンテスト入賞歴もある格闘看護師として活動中。