地域づくりを進めるための他施設間連携 前編

地域には急性期病院だけではなく、クリニックや回復期リハビリ病院、介護老人保健施設などさまざまな施設があります。それぞれ医療や介護サービスの提供を行うために重要な拠点ですが、切れ目のないサービスを提供するには、施設間連携がきわめて重要となります。一方、他施設間の連携といっても、書類だけの関係になっている現状が多いのではないでしょうか。今回、地域でちょこまかと動き回っている作業療法士が、他施設間連携の実際についてお伝えします。

私がしている地域の活動

 大学病院の作業療法士として働きながら、地域の介護予防事業のお手伝いや包括支援センターで行われる地域包括ケア会議に出席しています。また、私の地域では市内のリハビリ専門職を集めた有志団体を作っており、行政からの依頼はその有志団体に集約され、そこから適材適所の病院や施設に依頼がなされる仕組みになっています。私はその団体の世話人を務めており、行政との取り組みに意見を出したり、地域でのリハビリ専門職の活躍を支援しています。

サマリーは客観的なデータを使って誤解なく伝える

 他施設間連携でまず最初に思い浮かべるのは、退院時サマリーや診療情報提供書などの書類送付です。これは誰もが経験していると思いますが、書類づくりは非常に手間がかかることから、効率よく済ませたい業務の上位に入るのではないでしょうか。

 こうした書類づくりにはポイントが2つあります。1つはデータを載せることです。ここでいうデータとは、数値化できる情報のことを指しており、自分の主観をなるべく排除した客観的な数値を載せることで、受け手側に誤解なく情報を伝えることができるメリットがあります。

想いを乗せると情報がバトンになる

 さらに重要なのは2つ目で、それは送り手の想いを乗せることです。きちんとデータが載っている書類は素晴らしいですが、受け手からみると『情報』の域を出ません。ですが、送り手が患者さんとどう関わり、どのような目標を立てて取り組んでいたのかが記載されていると、それは単なる情報ではなく『バトン』に変化するのです。とても手間がかかる業務であることには違いないですが、想いを乗せたバトンは他施設間連携の要になります。

まとめ

 他施設間連携の最初の一歩は何といっても書類送付です。一歩目をおろそかにしてしまうと、施設間の溝はなかなか埋まりません。想いを乗せたバトンを送り続けてみましょう。

執筆者
須藤誠(作業療法士/学術部)

地方の急性期病院で、地域の人たちを陰ながら支えています。真っ当に研究業績を積みながらも、メディアや地域活動を通して作業療法の魅力を伝えるマルチプレイヤー。