これぞメディッコ!あん摩マッサージ指圧師と多職種の関わりは?

前編はこちら⇒あん摩マッサージ指圧師をゲストに根ほり葉ほり聞いてみた!

クラーク(RT)

前編では、まめ猫さんにあん摩マッサージ指圧師のお仕事や病院での働き方をお聞きしました。そしてここからがメディッコの本番や! 多職種との関わりについて聞いていきましょう。
参加者

クラーク(放射線技師)
日常業務がPCとにらめっこ。肩こりがひどい放射線技師。

喜多(理学療法士)
一度、病院見学であん摩マッサージ指圧師を見かけたことがあるが、それっきり。どんな話が聞けるのかワクワクしている。

猫兄貴Fats(薬剤師)
以前は緩和ケアに従事していたが、異動で座りっぱなし業務になり、肩こり腰痛に悩む薬剤師。あん摩マッサージ指圧師の存在は初耳。

まめ猫(あん摩マッサージ指圧師)
今回のゲスト。病院(終末期)に勤務しているあん摩マッサージ指圧師。

多職種連携であん摩マッサージ指圧師の立ち位置は?

あん摩マッサージ指圧師の学校って、多職種の働きや役割分担も習うんですか?

喜多(PT)

まめ猫(あマ指)

多職種についてはリハビリテーション医学の授業で少し習いますね! 特にPTやOT、STについては教科書に項目があるほどです。
なんと! リハ職が近接している気はしましたが、教科書に項目があったとは! 病院で多職種連携するときは、どのようなことを考えているのですか?

喜多(PT)

まめ猫(あマ指)

そうですね…、病院勤務の立場から思うのは、『あマ指師、便利ですよ』ってことです(笑)。全介助で寝たきりなど、体を動かせない患者さんへのマッサージだけでなく、拘縮予防や楽な姿勢へのポジショニング、緩和ケアを受けている患者さんの痛みの軽減、簡単な運動法・機能訓練によるベッド上での機能維持を、時間や保険点数を気にせずに動けるんですよ。

クラーク(RT)

ほうほう

まめ猫(あマ指)

看護師に「〇〇さんのお話聞いてもらえない?」と頼まれれば、背中をさすりながら30分くらいお話しするなんてこともあります。
『病院にいると便利』って、わかりやすくていいですね(笑)。まめ猫さんの話を聞いていると、リハ職が苦手とする部分や他の職種が関わりきれないところを埋めれるのが強みかなと思いました。

喜多(PT)

クラーク(RT)

うんうん!
PTは、患者さんが自分でトレーニングできるようにサポートするのが役割なので、あん摩マッサージ指圧師とリハビリ職で双方向に連携できると理想なのかなぁと感じました。

喜多(PT)

まめ猫(あマ指)

そういう役割分担もひとつですよね! すごくいい連携になる気がします。

あん摩マッサージ指圧師の業務にエビデンスはあるの?

緩和ケア領域に足を突っ込んでいる身として実感しているのは、痛みや苦痛の緩和って、薬物療法だけでは改善しきれないことも多いんです。なのに、背中をさするだけですごく楽になることもあって。不定愁訴に分類されちゃうような患者さんの訴えも、あん摩マッサージ指圧師がいてくれたら、もう少しレベルの高い緩和ケアができるんじゃないかなと思いました。

Fats(Ph)

まめ猫(あマ指)

そういう視点もあるのですね!
あん摩マッサージ指圧師のエビデンスとか、僕は知らないのですが、あれば教えてほしいです。自分もしんどい時に、ちょっとマッサージしてもらうだけで心まで軽くなったりするし。それがちゃんとしたプロの手ならなおさら…!

Fats(Ph)

まめ猫(あマ指)

例えば、あん摩マッサージ指圧師にとって大切な1つに“手を作ること”があります。筋を揉んだから緩むのでも心地よいいのでもなく、人の皮膚にある触圧受容器や筋の筋紡錘などの受容器が反応することで自律神経系などを介して影響を及ぼし、疲労回復や治療をすることができます。疼痛緩和もその一つの作用で、触れ方によっては中枢からのオキシトシン分泌を誘発させ、閾値を上げます。なので、「安心する」「触れてほしい」と思われる“手”は重要になります。
ええ、そうなんですか!? すごい…!

Fats(Ph)

まめ猫(あマ指)

私が今やっているのは、医師と一緒に検討したデータをまとめているところです。あん摩マッサージ指圧師っぽくないことばかりするので、異端児って呼ばれています(笑)。歴史ある資格の割にマッサージ師による研究が少なく、経験だけが頼りの世界で、昔からの風習や技術に頼っているところもあるので、これからもっと必要になるであろう病棟のあん摩マッサージ指圧師たちにとって、参考になるものを少しでも残せたらいいなぁって思っています。
まとまったら見せていただきたいです!

Fats(Ph)

まめ猫(あマ指)

ぜひぜひ!
僕の感想ですが、患者さんの満足度はめちゃくちゃ上がるだろうなと思いました。多職種と実際に協力したエピソードがあれば知りたいです!

クラーク(RT)

まめ猫(あマ指)

普段から、介入前の確認で出血や熱発などの異変を少しでも察知したら、すべて報告しています。信用していただいているからか、本当にちょっとした“なんか変だな?”にも、細やかに対応してくださるんです。ついでにスタッフからも「肩が痛いけど病院に行った方が良いかな?」「作業中の良い姿勢は何かか?」などと質問が来るので、わかる範囲でお伝えしています(笑)。
いい話だなぁ…。あん摩マッサージ指圧師の関わり方は、患者さんだけでなくスタッフをも安心させるのか! 患者さんとの印象的なエピソードはありますか?

クラーク(RT)

まめ猫(あマ指)

そうですね、がん末期の方から「先生の治療で半分、あなたがこうして来てくれて、お話ししながら背中をさすってくれることで、もう半分の治療が完成するの」とお話しいただいたこともあります。
感動的なエピソードや! あん摩マッサージ指圧師が、病院でここまでしっかり連携して働いているとは全然知らなかったです。連携ポイントがクリアに見えてきました!

喜多(PT)

本当に純粋な技術職なんですねぇ…。その人ならではの医療が提供できるっていうのがまずかっこいい。僕の勤務先はがん専門病院だから、がん治療に特化し過ぎて、逆に患者さんに我慢させてる部分もあるんじゃないかと常日頃思ってて。だけど、まめ猫さんのようなケアができる人が1人でもいてくれたら、患者さんのQOLがとても上がるんじゃないかなと思います。本当に素晴らしいですね。

Fats(Ph)

まめ猫(あマ指)

ありがとうございます!
あと、薬剤師である自分はどうしても薬ばかりに目がいってしまうので、“きちんと人を見てる”っていうのがとても伝わってきて、尊敬しますね!

Fats(Ph)

まとめ
あん摩マッサージ指圧師は、多くの医療知識を駆使して、多職種連携の隙間を埋めてくれる貴重な存在でした。お近くのあん摩マッサージ指圧師との連携を考えることで、より良い医療の提供につながるのではないかと感じます。ありがとうございました!
今回は、数ある医療職の中でもなかなか表に出てこない私たちあん摩マッサージ指圧師について、知ろうとしていただいたこと、本当に本当に本当にありがとうございます。あん摩マッサージ指圧師といえど十人十色。真摯に患者さんと手技に向き合っているあん摩マッサージ指圧師と握手すると、触れる直前に手を上ってくる不思議な感覚とかビリビリする感覚を味わえると思います。これは「あん摩師の手」と呼ばれ、私たちが一生育て続ける『手で癒す、治す時に必要な感覚』です。マッサージに真剣に向け合っている人ほど不思議な雰囲気をまとっているので、ぜひ体感していただきたいです!

前編はこちら⇒あん摩マッサージ指圧師をゲストに根ほり葉ほり聞いてみた!

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