今年もSTが入らなかった…と嘆いている人へ 〜明日からできる誤嚥性肺炎予防の3つのポイントを紹介〜

今年も多くの言語聴覚士(ST)が夢を叶え、現場に登場しています。改めてST1年生の皆さん、おめでとうございます!そして、ようこそ!

一方で、「今年もSTが入らなかった…」と涙で前が見えない方もいることでしょう。

今回はそんな方に向けて、STがいなくても気を付けることのできる誤嚥性肺炎予防のポイントを3つお届けします。

1.まずは口の中をのぞいて!

まずは体の入り口、口の中に汚れがないか確認!

いつも生温かい口のなかは、菌が快適に過ごせる場所です。食べ物や飲み物の残りカスが残っていることもあれば、乾いた痰がくっついていることもあります。それらを体の中に取り入れ、誤嚥してしまうことが、誤嚥性肺炎の発症につながります。

うがいができる患者さんにはうがい(ガラガラうがいではなくて、ぶくぶくペーで十分)、うがいが難しい患者さんには口腔ケア用のウェットティッシュやスポンジブラシを利用し、口の中をキレイに保てるようにしましょう。入れ歯をしていれば、入れ歯をキレイに洗うことも重要です。(入れ歯はごしごし洗うのはNG!)

こういうとき「歯があるから噛まれるのが怖い!」という声を聞くことがあります。ご想像どおり…噛まれると、めちゃくちゃ痛いです。十分な予防をしてくださいね。防ぐためには「バイトブロック」という上の歯と下の歯の間に挟んで、開口を維持するグッズがオススメです!

そして、ケアのタイミングは、食前・食後の2回。時間が取れなければ、食後を優先してください。とくに、高齢者は就寝中の唾液誤嚥から、誤嚥性肺炎になることがもっとも多いと言われています。就寝前(夕食後)はちょっと念入りにお願いします。

「食べていないから、口腔ケアはしなくてOK」ではありません。口は体の入り口です!口を開けて過ごしている患者さんもいるし、よだれが出たり、逆に口が乾燥している患者さんもいます。どんな患者さんにも、口腔ケアは必須です。

2.全身の姿勢・頭の位置を整えて!

口腔ケアの基本的な姿勢は3つ!

①足底は床(もしくは足台など)につくように、②ゆらゆらしないように③楽な姿勢で整えましょう。

みなさんにも試していただきたいのですが、足をぶらぶらしたまま、体をわざと傾けてご飯を食べてみて下さい。頼りない感じがしませんか?

実は「ごっくん」と飲み込む時、結構力が必要なので、足底をつけて踏ん張れるようにするのです。そして、食事をするということは、お風呂に入るくらい体力を消耗するそうです。だから食事時間安定した姿勢で食事がとれるようにする必要があります。左右に傾いたり、過度な前傾姿勢は「楽な姿勢」とは言えません。クッションやタオルを折って、患者さんの体と車椅子の間に入れるなどして、整えてみましょう。

「真っ直ぐな姿勢=良い姿勢」と思いがちですが、嚥下障害のある患者さんには、意図的に頭の角度を30度、45度などの傾けた設定にすることがあります。なのでここでは「真っ直ぐ」ではなく「楽な姿勢」とします。

このとき一番知っておいて欲しいことは、頭の位置、角度。あごが上を向いたような姿勢は、もっとも誤嚥しやすいということです。(「腰に手をあてて牛乳を飲む」のような状態はNGということです。)なので、頭の下に枕をしっかりと入れ、あごを少し引くように整えます。柔らかい枕では整えにくいことがあるので、その場合は少し硬い枕に変更しましょう。枕だけで整えるのが難しい場合は、タオルを折りたたんで枕の下に入れると整えやすいです。

3.他職種にヘルプを出そう!

嚥下障害には多くの職種が関わるので、相談に乗ってくれる職種はたくさんいます。病院や施設、在宅へ訪問をしてくれる歯医者さんを探しましょう!

1.に記したように、歯や口の中のケアは超重要。入れ歯、虫歯の相談はもちろんですが、機械を使った嚥下の検査(嚥下内視鏡検査=VE)を実施してくれる歯医者さんもいます。その後、どのような訓練をすれば良いのか、どのような食事が食べやすいと考えられるかなども提案してくれるので、お近くの歯医者さんを検索!

(摂食嚥下関連医療資源マップ https://www.swallowing.link ※登録している事業所のみですが、訪問してくれる歯医者さんを絞り検索できます。)

おわりに

STがいれば安心かもしれませんが、今いるメンバーでも誤嚥性肺炎の対策は充分できます。大切なポイントを振り返りながら、サポートしてくれる人たちと連携していきましょう!

執筆者
みややん(ST)

現在は、小児から看取りまでに携わる訪問ST。回復期リハ病院、教員、急性期、ことばの教室もチラッと勤務。摂食嚥下認定STだけど、やっぱりコミュニケーションって1番根っこだよねーと思い返しているところ。

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