喜多(PT)
単純な疑問なんやけど「良い薬剤師」とか「すごい放射線技師」とかってどう定義してます?厳密な定義じゃなくて、私が思う「すごい!」的な。リハと看護は分かるんやけど、他職種があんまりぴんとこんくて。
これは難しい問いである
なんて難しいことを…笑
クラーク(RT)
ぽりま(Ph)
なんとなくすごい人はたくさんいるけど、絶大な支持を得てるとなると限られるよーな。インプットは上手な人多いから、やはり発信が上手い人はレベル違うなと思うかなぁ。
やっぱり目線ですよね。患者さんから見た「すごい」、他職種から見た「すごい」、同職種からみた「すごい」。
クラーク(RT)
ぽりま(Ph)
患者さんから見て「すごい薬剤師」って、それこそあんまピンと来ないな…。他職種からもしかり。
私から見た「すごい」は、同職種目線ですけど、少し長くなるので、こやつヤベェっ奴やてっなるかも。
クラーク(RT)
ぽりま(Ph)
同じくですね笑。
もう少しかみ砕いて考えてみよう
喜多(PT)
やべ、難しくしてるやん笑。例えばさ、「放射線技師としての技術がある」とか言われても全く分からんのよ。
簡単に説明しますね。放射線技師って機械に向き合って画質を追求するっていう技術者的な側面と、一医療者の側面があると思うんですね。単純に画質を追求すると割と患者さんにとってキツい体制を取りながら検査をすることになります。
クラーク(RT)
喜多(PT)
うんうん、わかる。
しかし、患者さんは苦しい思いをするために来ているわけではないので、一医療者としては楽な体制を取らせてあげたいです。楽な体制と、診断に役立つ優れた画質のバランスをとって、さらには楽な体制でもキツい体制と同じくらいの画質が得られるように機械をコントロールする。それは技師冥利に尽きますし、実践してる人はすごいなと思います。
クラーク(RT)
喜多(PT)
そうそう!そういうのが聞きたいねん!ちなみに、画質を追求するってのは、患者さんが動かずに再現性ある角度からぶれのない写真を撮ること。的な感じ?
レントゲンで言えばそれはひとつの要素ですね。例えば、同じ夜空の写真を撮っても綺麗な星空と、真っ暗な空を撮る場合があると思います。私たちは機械の数ある設定条件や患者さんの体格、疾患を考慮して、初めて出会った空でも1発で綺麗な夜空の写真を撮ってしまうということです。
クラーク(RT)
喜多(PT)
なるほど。
つまり動きとかブレとか再現性ってのも一つですが、夜空を綺麗に細かなところまでくっきりコントラスト良く見えるのも画質が良いということですね。それは暗い空をとって見えなかった未発見の星座(病変)が、綺麗な夜空の写真にすることで誰の目にも明らかな形で浮かび上がってくるということです。
クラーク(RT)
喜多(PT)
めっちゃ分かりやすい…!じゃあさ、撮る人の技術によっては病変が見つけられない…なんてこともあるわけよね。骨折線がよーわからなくて見逃してしまった、という事例とか。
鋭いですね。全くもってその通りです。ぱっと見は軽微な違いでも診断が変わると患者さんにとってはその後が大きく変わるんですよね。
クラーク(RT)
喜多(PT)
うんうん、実感としても分かる。じゃあさ、キレイに撮る、ってのはどういう要素によって決定されるの?撮るときの設定?みたいなのをひとつひとついじるの?
綺麗に撮るってのは撮る時の設定を一つ一ついじったり、患者さんの身体の向きを工夫したり、呼吸の仕方を工夫させたり、放射線を当てる向きを変えたり、組み合わせでいったら膨大なものになります。
クラーク(RT)
喜多(PT)
大変な仕事やな…
それはレントゲンだったり、CT、MRIでそれぞれ設定項目や考え方が変わるので、それぞれで覚えたり検討しますね。それこそ料理の写真撮る時も器だったり光の当て方だったり角度、拡大率などなどたくさん工夫して綺麗にしますよね。
クラーク(RT)
放射線技師さんの「すごさ」だんだんわかってきた!
喜多(PT)
なんとなく分かってきた、すごい複雑なことをやってるのが分かってきたよ。でも、レントゲンやCTを受ける人には負担が少ないように素早く設定をしたり、誘導をしたりするわけだよね。となると、声掛けの仕方によって患者さんの反応も違うよね、きっと。放射線技師さんの研究にそんなんあるんかな…?
そうです。なので、複雑な条件は患者さんがいない時に検討してプリセットして、ボタンひとつで複雑な組み合わせを呼び出せるようにして高速化しています。患者さんがいない間の研鑽が活きてくるんですね。もちろん声かけも重要ですし、楽に動かないように固定する仕方も工夫したりします。どちらかと言うと固定の仕方を工夫する研究が多いですかね。
クラーク(RT)
喜多(PT)
理由はあるの?
理由としてはレントゲンなどは0.05秒とかで写真が撮れたりするので、声かけするより、楽に固定して早く検査を終えてあげた方がいいという考え方です。でないと(言葉は悪いですが、)大量の検査をさばけないのです。そんな中でも終わった後に話をしながら靴を履かせるのとか着替えを手伝ったりとかは、患者さんにこやかになったりしますけどね。
クラーク(RT)
喜多(PT)
固定って「はい、そこに顎乗せてくださいねー!」ってレントゲンで言われるやつよね。固定の研究ってどんな感じのがあるの?脊柱に側弯があって立位がきれいにとれない人とか、体のサイズごとに適した設定の仕方とか?
例えばレントゲンの写真って関節の中がよく見えるような写真が良いと言われますけど、それは関節の構造と放射線を当てる角度と一定の組み合わせで成り立ってるんですよね。
クラーク(RT)
喜多(PT)
ふむ。
ですので、その角度を生み出すために台の形状を工夫して、またがる関節を同時に支えてあげると「この台に手を乗せれば、あーら不思議、手は安定して動かないしセオリー通りの写真も撮れちゃう、あとは条件を吟味するだけだから考慮することが減って早く適格に検査が終われるわね!」って、感じです。それの各関節バージョンがあったり、バリエーションがあったりですね。
クラーク(RT)
喜多(PT)
体のサイズは?
サイズごとに適したやり方はむしろ放射線当てる時に一つ一ついじる設定条件のほうですね。側弯とかは逆にただ立ってもらってるだけなので、転倒防止に気をつける方が関心が高いです。ただし転倒防止の際の患者さんの押さえ方が通常とは異なり、医療者の被ばくを低減するような身体の配置だったり、写真に押さえる手が映り込まないように(すなわち患者さんの体幹が押さえられない)工夫して押さえる、ということになります。
クラーク(RT)
さらに聞く理学療法士
喜多(PT)
ほう~。撮ってから画像を変化させるってことについてなのだけど、電子カルテだと一瞬で飛んでくるから、どうやってるのかなぁ…と思ってたわ。あれかな、ベーシックなものだとさささっと出来るけど、難易度高いものもあったり…あるんよね、きっと。
撮った後に変化させるのも自動で変わって自動で送られるように、患者さんがいない時に手動で機械に設定をセットしますね。でも高難易度のものもあります。3Dの立体画像とかですね。あれは2時間とかザラにかかるものもあります。ただ、手術の支援として絶対に活きてくるand手術の成功率を上げてやるという気概があります。柔と剛のように使い分けますね。
クラーク(RT)
喜多(PT)
なるほど!たしかにあれは時間かかりそうなの、一回も現場見たことないけどイメージ湧く笑。複雑な折れ方してたり、骨片がどのようになってるかを術前に分かるのは大きいよね。開いてみてから考えよう…ってことを減らせたり、確実性の高いOPEに繋がるわけやもんね。ばっちり支えるぜ!って感じ!
整形とかは意外に時間かかんないんですよね。でも近年かなり重要性が増してきて、3Dの立体画像で骨折分類をして術式を決めたりもするので重要です。やはり時間がかかるのが脳外科や腹部外科、胸部外科とかですね。脳実質と神経、動脈、静脈、骨、病変、などをそれぞれわかりやすく分離して作って見せたりするのが時間かかったりしますね。
クラーク(RT)
喜多(PT)
は~!確かに細かかったり層が複雑だったりする組織は大変そうだわ!
クラークさんの思う「すごい」
蛇足かもしれませんが、ここまで紹介してきたことは、一般的にすごいと言われやすいですよね。でも、別の側面も大事にしたいなと思ってて。というのは、技師の中では心停止などのprimaryな急性期対応、BLSなどもそうですが不慣れな人が多いです。関わる機会が少ないので必然なのですが、それは一医療者としてもっとできることはあるのではないかと思うことはあります。
クラーク(RT)
喜多(PT)
具体的には?
目の前で患者さんが倒れた時に、A「アワアワして何もできないけどその後の検査はしっかり撮って綺麗な画像がだせる:、B「臆さず対応できるけどその後の検査はあんまりうまくできない」。この、AやBより、C:「臆さず対応して、その後の検査もしっかりできて綺麗な画像が出せる」というのが私の目指すところです。
クラーク(RT)
喜多(PT)
ふむ。
同職種だからこそ考える「すごい」の部分かもしれませんが。これも放射線技師の研鑽としてのバランスかなと思ってます。楽に綺麗にとるのもバランス、研鑽の仕方もバランス、バランス取れる人はやはりすごいです。
クラーク(RT)
喜多(PT)
なるほど~!ちょっとずつ放射線技師さんのスペシャリティが分かってきた!
他の職種の方でも聞いてみたいですね。
クラーク(RT)