学生時代からみた現在の勉強法や学びの変化

学生時代と新人〜若手のとき、そして中堅の現在でそれぞれ勉強法や学びのスタイルって変わったよなぁと。メディッコメンバーはどうでしょうか。

白石(Ns)

この間カフェで、参考書に赤シート使って勉強している受験生を見て思ったんですけど、昔と今でどんな風に勉強法や学びのスタイルが変わったか、現在のスタイルに変わったきっかけなどが知りたいな〜と思いました!

白石(Ns)
看護師兼ライター。中学まではあまり勉強せずとも成績は中の上くらいだったが、高校から中の下あたりをうろうろするように。看護学校ではさらに赤点をとることで追試組に。視覚優位、身体で書いてやってみて覚えるタイプ。

かなこ(Ns)
看護師。学生の頃から授業中はよく寝てた。チョークを投げられた経験あり。課題はいつもギリギリ。

喜多(PT)
理学療法士。夏休みの宿題は日記も含めて序盤の数日で終わらせるタイプ。とにかく前倒しで何もかも取り組んでいるのに、仕事をどんどん入れるので常に追い込まれている。

猫兄貴Fats(Ph)
薬剤師。学生時代はわりと怠惰な日々を過ごしていたので、むしろ就職してから勉強の仕方を工夫するようになった。ガジェット類が好きなので色々なものを取り入れたい。

中野(Ns)
看護師から教員へ。学生時代は再試験ばかりのぐうたら学生。読まない本を買っても自己投資と言い張るタイプ。

S.O(Ph)
病院薬剤師。最近新しい疾患領域に関わることが増えたので勉強する機会が増えているが、もはや年齢のせいか頭への入りが悪い。

 タサモ(ME)
臨床工学技士。学生時代の怠惰な勉強のせいで、働き出してからのほうがたくさん勉強するようになった気がする。

主体性を持って初めて「勉強」になる!

喜多(PT)

学生のときはとにかく詰め込み学習をしてて、教科書を丸覚えしてたね。運動療法って科目のテストが難しかったんだけど、テスト範囲の30Pくらいを写経して完全再現できるようになって、満点で乗り越えたことがある(笑)。社会人になってからは、「丸覚えではだめ」ということにちょっとずつ気付き始めて、勉強したことがどう臨床に活きるか、臨床でどう活かせるかを考えて知識を入れるようになったかな。
わかるわかる!

白石(Ns)

喜多(PT)

例えば、「患者さんの痛みを取るためのテクニック」とかはよく勉強してたよ。でもその結果、滅多に遭遇しない患者さんの状態についてはあまり勉強しなくなったという面があったな。出会うのは運動器疾患の人が多かったから、内部疾患についてはしっかり学んでこなくてすごく反省してる。臨床で6年くらいしてからは、「自分が興味のあること」も勉強するようになってきて、「すぐには結びつかないけど大切そうなこと」を学ぶようになったね。例えば、未だに行ったことのない訪問リハビリについての勉強も始めて、本を出すまでに至った。
私も、自分が興味のあることを勉強するようになってから、初めて「勉強するのって楽しいかも」と思ったなぁ。ちなみに、現在のスタイルに変わったきっかけはなんだったの?

白石(Ns)

喜多(PT)

臨床6〜7年目の、年間10個くらい学会発表してたときかな。今も指導を受けている大学の先生に自分が発表したセクションで偶然出会って、院外の研究活動が本格的に始まったのよ。研究の指導を受けたことがなかったから、教えてもらいながらどんどんいろんな世界が広がっていって、こういう感じでいろんなことに手を出してもいいんや!と思えたことがきっかけかな。
なるほど!

白石(Ns)

喜多(PT)

今は「とにかく大事そうなことは、自分なりにフルコミットしてみる」というのをやっていて、それはメディッコをスタートさせたときと変わってないんだよね。あらゆる領域に顔を出してみるようにしているんだけど、だからこそ知れることってたくさんあって、いつの間にか学校教育とか人類学とかの話をつまみ食いするような感じで学んでいる。医療や福祉の分野で言われていることが他分野でも同じように言われていたり、応用できそうな考え方があったりして、思考の幅が広がっている気がする!
喜多さん、めちゃくちゃ精力的にいろんなところに顔を出しているイメージあったけど、院外の研究活動がきっかけだったのか!

白石(Ns)

かなこ(Ns)

私は学生のとき…といっても、もう十数年前だから記憶があいまいだけど。勉強方法としては課題が出たらやる、本当にそれだけだったと思う。とりあえず持ってる教科書を使って勉強。新人のときは混合病棟にいたので、受け持つ患者さんに関する最低限の観察点をネットで調べることが多かったけど、受け持ち患者さんが急変したときがあって、それ以降プリセプターにひたすら関連図を書いてくるよう言われたなぁ。
うんうん。

喜多(PT)

かなこ(Ns)

『病気がみえる』シリーズが出はじめた時期というのもあって、とりあえず関連図を書いて、プリセプターに見せて指摘されて、また書いてってのを繰り返していた気がする。正直なところなかなかしんどい時期もあったけど、関連図を書くことで病態生理も少しずつわかるようになってきて、どうして今こういう状態なのかというのが考えられるようになってから仕事も少し楽しくなってきたかなぁという印象。中堅になればある程度わかることも増えてきて、先生のカルテがもっと読めるようになると楽しいだろうな~と思って、ここから私の略語ブームが始まった(笑)。
略語ブーム(笑)。ちなみに今の勉強法はどんな感じなの?

白石(Ns)

かなこ(Ns)

今も勉強法としてはそんなに変わらないけど、紙から電子化したのが一番でかいかな。いつも本を持ち歩くわけにもいかないし、クラウドに保存しておけば見たいときにいつでも見られるので!何冊も本を持って職場に行ってた時期が懐かしい…。

学生時代から進化した勉強法

S.O(Ph)

学生のときは教科書とか講義のプリントをただひたすら読んでいたね。自分でノートにまとめ直すひと手間などはまったくかけず、ただひたすら読んでいたと思う。国試の勉強も同じで対策用のテキストをただひたすら読んで、たまに過去問を解いていた感じかな。社会人になってからしばらくは、とりあえず近場で出られそうな研修会に出たり、医学書店で平積みになっているような有名な書籍などを読んで勉強して。数年前からは医薬品に関しては論文ベースの勉強が増えてきたね。
わぁ…読んで頭に入るタイプが羨ましい。論文ベースの勉強が増えてきたのは、どういったきっかけから?

白石(Ns)

S.O(Ph)

社会人3年目くらいに参加したワークショップで、論文を通じた医薬品評価や効果の大小の認識に興味を持ったからかな。その後、医薬品の勉強の中心となったのが、概要がわかる成書の利用から具体的な対照患者が設定されて、効果の大小が見える原著論文の利用にシフトしたんだ。こうした勉強法や学びのスタイルになってからは、医師に情報提供する際に根拠を提示できる速度が上がったね。薬が効くか効かないかではなく、どの程度効くのかの意識が強くなったのも大きいね。
僕は学生のときは、ひたすら教科書や専門書から大事なところをノートに書きこんで覚えてたね。仕事し始めてからは、付箋やポストイットを活用し、ノートではなく参考書や専門書に要点を書き込んだ付箋を貼り付けて覚えるようになった。書き込みより読み込むって感じのスタイルに変化したかな。認定試験などに関しては、ひたすら関連の問題集を解きまくる!これは国家試験のときと同じかもしれない。間違えたところをしっかりと振り返って覚えるよう頑張ったね。

タサモ(ME)

喜多(PT)

うんうん。
前までは専門書など本から学ぶことが多かったけど、今は論文や身近な学会などに参加して、今の自分の立ち位置と現状の把握をするようになったかな。また、発表をそのまま聞くだけではなく、発表者に直接質問することで、その発表に込められなかった内容、意図や苦労などを学ぶことができるようになった。直接聞くというのはすごく勉強になり、視野が広がったね。なかなかの荒業ですが…(笑)。

タサモ(ME)

白石(Ns)

たしかに、論文を読んだり、学会に参加して発表者との交流などは臨床に出てからの大きな学びスタイルの変化かもしれないね!

デジタル導入で効率化

Fats(Ph)

僕は学生のときはひたすらノートにまとめて、それを定期的に見返しながら問題を解く、みたいな感じだった。でも、いつも直前にギリギリ勉強し始めるタイプだったので、満足にまとめきれないときも多くあって…(笑)。若手のころにiPad Pro、Apple Pencilが出たのでそれからすべて電子化したね。書籍類も可能な限り電子版を購入して、今までまとめていたノートやテキスト、書籍類も自分用に電子化してPDFにして活用しているかなぁ。最近は論文なども読むことも多いけど、英語を読み返すのは大変なので、OneNoteにPDFで貼って、要約を横に書き込んだり打ち込んだりしているよ。
猫兄貴が電子化に切り替えたのはどんなきっかけだったんですか?

白石(Ns)

Fats(Ph)

元々デジタルデバイスは好きだったから、すべて電磁的に記録してどこでも振り返られるようにしたいと思っていたんだ。そのやりたいことに、iPadが追いついてくれたときに飛びついた感じだね。成書を読むのにも、論文を読むのにもとてもやりやすいね。治験で働いていたときは膨大な資料を持ち歩かず整理することができていたし、臨床で突発的に遭遇した事態でも、「あ、なんかで勉強したことあるな」と感じたらすぐにスマホで勉強したことを取り出せるようになったのは大きいと思う。最近はがんの臨床試験も条件が細かったり、適格除外基準が厳しかったりするものもあるので、すべてを記憶するのは正直無理。目の前の症例にエビデンスとして使用できるかどうかすぐ調べられるのは便利だよね。
僕は学生のときは勉強嫌いだったね。教科書も必要最低限。新人から中堅の頃になって、毎月5,000〜10,000円くらいはとりあえず医療系の本を買うと決めていたかなぁ(読むとは言っていない)。本を積んでいても意外に目次だけ目を通しておくと、困ったときにすぐに見られて勉強になると思う。今は本もPDFや電子書籍で持ち運ぶようにしたり、論文も医中誌やGoogle Scholarのキーワード検索よりもAI使って探すスタイルになったね。

なかの(Ns)

今時だねぇ~

白石(Ns)

なかの(Ns)

看護師って結構、PCとかデジタルとかに強い人が少ないので、そういったところで自分の役割を持てるように意識し始めたのがきっかけだったと思う。コロナ禍でデジタル化がいろんなところで進む中で、頼りにされることが多かったのは良かったよね。
そういえば余談なんですが、過去にiPadとかに情報を入れすぎて、質問があったらすぐタブレットを出して回答するのが定着してしまって、タブレットが本体、Fatsは付属品というネタが医師や同僚に一時定着したことがあった…小ネタとして(笑)。

Fats(Ph)

そのレベルに到達するのはさすが猫兄貴!!!いろんな勉強法や学びのスタイル、そして変化を聞けて面白かったです!ぜひみなさんも参考にしてください〜!

白石(Ns)