松田(ME)
複数の病院を経験しましたが、いずれも新人の直接の先輩(2、3年目)ともう少し上の先輩の複数で担当していました。臨床工学技士は、透析室・手術室・機器管理室等、それぞれの部門があるので、指導内容や方法は部門ごとで多少の差はありましたね。
S.O(Ph)
松田(ME)
カリキュラムや新人教育マニュアルも部門ごとで作成していて、1カ月、3カ月、半年、1年と数カ月ごとの節目で目標設定をしている場合もありました。
S.O(Ph)
僕が勤務していた病院は基本的に、病棟で一番経験年数の少ないスタッフが新人教育をするようになっていました。なので基本的に2年目が新人教育に当たることが多かったです。それでも毎年全ての病棟に新人が来るわけではなかったので、中堅クラスになってから初めて指導に入る人も少なからずいました。
大平(PT)
経験が浅いときから指導も担うのですね!大平さん自身は何年目で指導したのですか?
S.O(Ph)
僕の場合、2年目と4年目の時に新人を受け持ちました。病院には新人指導の具体的な方法論は決められておらず、各病棟ごとに違っていました。なので病棟に来た新人をチーム皆で見たり、新人指導は指導者に任せっきりという場合もありました。
大平(PT)
S.O(Ph)
新人教育で困ったこと、学んだことあれば教えてください!
S.O(Ph)
松田(ME)
カリキュラムや教育マニュアルをいくら揃えていても、新人により成長速度が違うので、覚えの早い新人、ゆっくりと確実な新人、のように個人差はあり、その個別な対応は難しいですよね。
S.O(Ph)
松田(ME)
複数人で教育を担当することで、チームとして進行を見直したりもしていました。チームで教育することで、教える側もお互いに学べることがたくさんあります。教わる側も教える側も学びあうことも大切ですね。新人教育を通して、先輩たちも成長していけます。
困難な場面は学びの場面でもありますよね。大平さんは?
S.O(Ph)
新人教育で最も困ったことは、「新人を叱る」ことでした。自分が叱られることが苦手なので、人に対しても「叱る」ことに苦手意識を強く持っていました。そこで、新人教育で叱る場面が出来た時には、「なぜそれをしてしまったの?」と意見を聞いて、間違っていることを「次は一緒にやってみようか」と一緒に取り組むようにしていました。怒るのではなく、あくまでも気付きを与えるスタンスです。
大平(PT)
叱るって難しいですよね。松田さんのような学びもありましたか?
S.O(Ph)
ありましたね!その方法を続けていく中で「言われただけで直せる人はほぼいない」「委縮したら新人のミスが止まらなくなる」と学びました。また、いつの間にか指導している自分が新人に求めるレベルを高くしてしまい、叱らなくていいことでも叱りたくなっている事に気が付きました。
大平(PT)
松田(ME)
他職種の新人教育で困ることは、どの程度薬剤に学んできているかわからない点です。どのようなの薬剤を知っているのか?どの程度詳細を知っているのか?資料を作る際にかなり悩みます。その研修のゴールをどこに定めるかも悩みます。目の前の業務がこなせればいいのか?その背景も理解して応用できた方がいいのか?上司の方々に相談しつつ調整しながら対応しています。
S.O(Ph)
松田(ME)
他職種の新人さんに教えてる事はありますか?意識していることなどありますか?
自職種だけでなく、他職種への教育を担うことはありましたか?
大平(PT)
松田(ME)
臨床工学技士は、医療機器の教育を他職種に教えていくことも重要な業務の一つです。医師(研修医)、看護師へ医療機器の使用方法を教えることはとても多いです。特に看護師へは、新人看護師全体、病棟ごとの勉強会など様々なシーンがあるので、対象はどんなレベルで学習の目標・ゴールはどのあたりかをしっかり打ち合わせして教育していました。
大平(PT)
薬剤全般に関して教えることがあります。意識している点は、できる限り標準的な内容を教えるようにしていることです。施設や病棟の医師によって処方のクセがあるので、それに合わせると新人さんの知識が偏ったり極端になってしまうリスクがあると考えています。
S.O(Ph)
処方のクセとは考えたことなかったです。標準的な内容を知るとどういう影響が出るのでしょうか?
大平(PT)
標準的な内容を知りつつその施設のクセを受け入れることと、施設のクセしか知らずそれが標準的だと受け入れることでは、その後のレベルアップに差が出ると思っています。その新人さんがずっと同じ施設に所属し続けるとも限りませんし、今後のためにも標準的な内容を教えることは重要だと考えています。
S.O(Ph)
なるほど、そのように教育してもらえることは大きな財産になりそうですね。僕の経験では、回復期は1人の患者さんにチームアプローチをする機会が増えるんです。その時に、他職種の新人さんとチームを組んで意思疎通を取る機会がよくありました。まずこちらの意図を伝えてから他職種の新人さんの意見を聞くようにしていました。コチラがリードするスタンスですね。
大平(PT)
松田(ME)
あるやり方に対して、「まずは新人の意見を!」と考えないように意識していました。自分が新人の時に、いきなり意見を求められるのが苦痛だったので、それをしないようしていたんです。そうすることで、こちらの意図が伝わり、お互いに共有認識がズレなくなります。また、新人さんも意見してくれるようになることが多かったですね。意見が出れば、そこから新人がどう考えているのかこちらが理解でき、より深い連携が取りやすかったです。
大平(PT)
松田(ME)
他職種の新人教育で困ったことや嬉しかったことがあれば教えてください。
さらに突っ込んで!他職種への新人教育で困ったことや嬉しかったを教えてください。
大平(PT)
松田(ME)
困ったことは、病棟ごとの勉強会でそれぞれの病棟の求められるレベルが全く違い、それに合わせることが難しかったです。なので事前の打ち合わせが重要になります。例えば、人工呼吸器をあまり使用しない病棟では、本当に簡単に基本のみ。人工呼吸器の使用頻度の多い病棟では、かなり細かい実際の注意点まで等、本当に様々です。他職種への勉強会は、新人臨床工学技士がやることは少なく、ある程度のベテラン臨床工学技士が担当していました。
病棟による違いはイメージ出来ます。異なる資料を用意したり、大変だったでしょうね。嬉しかったことはどうですか?
大平(PT)
松田(ME)
嬉しかったことは、「とてもわかりやすかったのでもっと開催してほしい」「毎月やってほしい」「個人的に個別でも教えてほしい」など、とにかく頼られることがやはりとても嬉しいことですね。教育もチームでの連携が大切ですね。
僕は、クセの少ない内容を教えるようにしていますが、病棟の先輩の経験のクセが強いことがあります。そうすると割とすぐにクセによっていってしまうことがあります。とはいえ他部署の教育なので、そこまで細かいところまで間に入るべきか?は悩むことがあります。
S.O(Ph)
S.Oさんの考えと異なる部分であるので、もどかしいところですやね。僕が困ったことは、チームアプローチの中で新人さんは意見が少なく、こちらの意見に同調することが多かったことです。しかし、そうなると専門性のあるディスカッションまで発展しないことが多くて、患者さんのためにならないことがよくありました。
大平(PT)
S.O(Ph)
そんな時には、明確に「僕はこう考えているんだけど、ここに困っているからここに新人さんからの意見が欲しい」と伝えるようにしていました。こちらが少しリードしながら行っていましたが、そうやって伝えていく内に、他職種の新人さんが先回りしてその情報収集やアプローチをしてくれるようになったときは、成長を感じて嬉しかったですねー。
大平(PT)
まとめ
今回はそれぞれの職種から教育について語ってもらいました。
教育マニュアルがあったとしても、現場で培われた経験談には学ぶものが多いです。
他職種とのエピソードも自分の職場で活用できそうなので、実践したいとこですね!