研究費って何?どうやったらもらえるの?(応募準備編)

ここ数年、医療系、特に看護学部を設置、新設する大学が増えてきました。そうなると大学教員も増えていきます。大学教員は次世代の医療者の育成はもちろんですが、研究者としての一面もあります。

そんな時、補助金があると更に発展した研究ができるかもしれません。今回は、研究費獲得の代表格、科研費について説明していきます。ただ、大学教員以外にも応募できる団体もありますので、臨床で働いている皆さんも参考にしてみてください。

科研費とは

科研費とは、科学研究費補助金および学術研究助成基金助成金のことです。

大学などに所属する研究者が競争的資金を得るためのものになります。競争的資金なので、当然審査があります。科研費の中にはさまざまな種類があり、それぞれ、採択(合格)される確率が異なります。

一番金額が大きいものは2~5億円の「特別推進研究」で、採択率は約10%(令和元年度は11.3%)です。研究ビギナーは若手研究や基礎基盤(C)と呼ばれるものにエントリーすることが多いと思います。金額はどちらも500万円以下で、採択率は年によって異なりますが若手研究、基礎基盤(C)共に約3割(若手研究の方が少し高い)となっています。

また、大学院生やポスドク(博士研究員)向けの特別研究員奨励賞というものもあります。応募しないと科研費をもらえるチャンスは0%なので、まずはトライしてみましょう。

応募する前にやること

まず応募してみましょう!と言いましたが、科研費に応募する前に確認しておくことがあります。

研究者情報登録の確認です。所属機関に申請してe-Rad(府省共通研究開発システムhttps://www.e-rad.go.jp)という所に研究者情報を登録してもらいましょう。そこで、研究者番号、生年月日、連絡先、所属などを登録します。そうすると、Web上から応募書類にアクセスできるIDとパスワードがもらえます(年に数回しか使わないので忘れないように注意)。

応募する種類を見極めよう

科研費へのIDとパスワードが発行されたら次にすることは、科研費応募の種類を選ぶことです。研究者登録後、多くの人がまず応募するのは、基礎基盤(C)や若手研究だと思います。若手研究に応募するには条件があります。基礎基盤(C)は教授クラスの方々も応募できるので若手に比べると採択される難易度が上がるといわれています。

研究者になりたての方におススメなのが研究活動スタート支援というものです。これは研究機関に採用されたばかりの研究者や育児休業から復帰する研究者等が一人で行う研究です。

通常の科研費の応募というのは9月~11月ですが、この研究活動スタート支援は5月の2週目くらいが締め切りなので注意が必要です。若手研究は、平成30年度から「39歳以下の研究者」から、「博士号取得8年未満」と条件が変更になっているので注意が必要です。そのため博士号を持っていない研究者は、他の種類へ応募する必要があります。

臨床で働いている人は応募できないの?

ここまでの説明は研究機関に所属している方の応募がメインでした。

では、臨床で働いてる人は応募ができないのか??そういうわけではありません。

例えば看護系だと日本看護技術学会(https://jsnas.jp/subsidy/)や日本救急看護学会(http://jaen.umin.ac.jp/subsidy/)なんかが助成金を出しています。どちらも、助成期間は1年ですが、臨床で働いている人も応募することができます。

おわりに

 研究と言うと、ハードルが高いと思われがちです。それでも、応募しないと補助金をもらえる可能性は0%です。まずは応募してみましょう。仮に採択されなくても、応募に対して評価(A:もう一歩、B:改善が必要など)が得られます。それをみてより良い研究になるよう取り組んでみましょう。

執筆者
中野(Ns)

手術室、急性期病棟、ICUを8年経て大学教員となる。現在は成人看護学を担当。看護師のかたわらプロ格闘家としてのみならずコンテスト入賞歴もある、格闘看護師として活動中。