病院に勤めていると、様々な治療を受けている患者さんがいます。
その中でもしばしば、血漿交換?イーカム?など分からない、聞いたことがない単語が出てきて困ったことはありませんか?
今回は日々血液浄化業務を行い、透析技術認定士でもある現役の臨床工学技士が血液浄化の治療法の種類について説明いたします。
血液浄化療法とは
そもそも血液浄化とは何なのか説明します。
簡単に言うと血液浄化療法とは「血液をきれい(浄化)する療法」です。
具体的には「血液浄化器というものに血液を通して、病原物質や体内に貯まった老廃物などを除去し、きれいにした血液を患者さんに戻す」という流れで行われます。
現在では保険適応も広がり、血液浄化療法には様々な方法・種類があるので、初めて聞く血液浄化療法の名前はイメージしづらいのではないかと思います。
分け方にもいろいろ種類がありますが、簡易的かつ分かりやすい手順で分けてみました。
病期による分類
まずは『病期』によって大きく分けていきます。
病期による分類では、大きく2つ。慢性期か急性期で分けていきます。
慢性期の血液浄化療法
慢性期は主に慢性腎不全(急性腎不全は急性期)が対象で、HD(血液透析)、HF(血液濾過)、HDF(血液透析濾過)、PD(腹膜透析)が該当します。
一言で「透析」というとHDのことを指すことが多く、冒頭で述べたECUMというのはHDという治療法のうちの除水(水を引くこと)のみを行う手法です。
慢性期の血液浄化療法は腎代替療法と呼ばれ、腎臓の代わりとして血液浄化を行います。腎臓は尿や老廃物の排泄、造血に関わる生きるために必要不可欠な臓器であるため、一生行わなければならない療法というのが特徴です。
急性期の血液浄化療法
一方、急性期では腎不全以外の疾患を対象にしていて、透析のように一生行わなくてもよいものもあります。
救急・集中治療領域で特に目にするのが、術後の循環動態が不安定な時や急性腎不全の場合に多く行われるCHDF(持続的血液透析濾過)などが挙げられます。
標的物質による分類
これは急性期の血液浄化方法に該当します。
血液そのものをきれいにするのか、血液から血漿成分を分離し、分離された血漿をきれいにするのかの分け方です。
血液そのものから病原物質を除去してきれいにする療法を『血液吸着療法』と呼び、血漿を分離して血液をきれいにする療法を『血漿浄化療法』と呼びます。
まとめ
血液浄化療法の種類はたくさんあり、①病期による分類と②標的物質による分類で分けると分かりやすいです。
この分類をまとめると、以下の図のようになります。血液浄化療法の種類に迷ったり、分からなかった際にこの図を是非活用してみてください。
興味がある方は自分の病院でどのような血液浄化療法を行っているのか?を調べたり、規模が大きい病院では透析室、血液浄化室、血液浄化センターはどこにあるのか?を探してみてください。
もし自分の職場に血液浄化療法に従事している臨床工学技士がいたら質問してもよいかもしれません。
図.血液浄化療法の種類
透析技術認定士、ME1種技術者。専門は慢性血液浄化。学会発表、論文作成など学術にも力をいれている。データ分析担当。