みなさんは映像や画像を使った医学の現場で、どのような苦労があるのか知っていますか?
いつのまにか終わっていたり、関わったことがないと何が大事なのか想像しづらかったり。今回はそれぞれの経験を元にざっくりと語り合ってみました!
参加者
白石(Ns)
病棟看護師の経験が長いため、映像や画像を使った検査のことはあまり詳しくはない。
喜多(PT)
画像の世界…といわれても何もピンときていない。
かなこ(Ns)
カテ室経験もある手術室看護師。
クラーク(RT)
画像にこだわりすぎて視野が狭まらないよう気をつけている診療放射線技師。
映像や画像系ってどんなとこだろう?
個人的にはわりと未知の世界?に近いかなー。検査出ししてもすぐ病棟に戻っちゃうし、検査結果とかは確認してアセスメントすることはあるけど、中で何をやっているのか詳しく知らないことも多いかも!(自分の科に関係なければ)
白石(Ns)
クラーク(RT)
画像系ってどんなのがあるかと言われたら、ほんとたくさんなのよね…試しに私挙げてみましょうか!
かなこ(Ns)
カテ室経験があるとはいえ、オペ室と一緒だからなぁ。なんかパッと思いつかない。クラークさん挙げてほしい!
クラーク(RT)
放射線画像系(一般撮影(いわゆるレントゲン)、CT、MRI、DEXA骨密度、透視、マンモグラフィー、アンギオ、核医学、放射線治療)、エコー(心臓、腹部や子宮、経膣、頸部などなど)、眼底画像、OCT(網膜のCT)、喉頭ファイバー、気管支ファイバー、ビデオオトスコープ(耳内視鏡)、デンタル(歯)、関節鏡(スコピー)、腹腔鏡、顕微鏡、内視鏡(胃や食道などの上部、大腸などの下部)、このくらいかな…?
多いな…これだけの範囲が該当するのか…!
喜多(PT)
クラーク(RT)
病棟でエコーをやっているところとか、救急でやっているところを見たことのある人はいるんじゃないですかね?
見たことある!見たことあるけど「あっ…すいません…」ってすぐに離れてたわ(笑)。邪魔しちゃいけないと思って…。
喜多(PT)
クラーク(RT)
あるあるですね(笑)。う~ん、内視鏡なんかでは、看護師さんや臨床工学技師さんがバリバリ活躍してるイメージがありますね。
かなこ(Ns)
関節鏡と腹腔鏡とかは、オペだからちょいとは話せるかな!
クラーク(RT)
関節鏡とか腹腔鏡とか、逆にう僕たちは関わらないので準備とか後片付けが大変そう。
かなこ(Ns)
関節鏡は視界をクリアにするために大量の灌流液を使うから、床がめっちゃ濡れて大変!看護師としては腹腔鏡も内視鏡のカメラや光源、それ以外にも気腹チューブをつなげたり、外回りの準備など器械介助が多いね~。
クラーク(RT)
知られざる苦労…(涙)
準備の苦労は定番?
クラーク(RT)
検査ってそれぞれ準備があって、ちゃんと意識しているかどうかは大きな違いだと思っています。それによって検査オーダーする側や送り出す側にお願いすることがだいぶ変わるし、何より覚えてもらいたいことの大半が、準備とその後の注意点だったりする。その上で「その理由とは、検査中こんなことをやるからで〜」に繋がる気がするんです。
準備大変よね~。そこは看護師がよく関わるところだ!特に新人のときとかは、準備項目を丸暗記するとキツいけど「これは検査中に〇〇をするときに使うから〜」って理解しながらだと覚えやすいし、忘れにくいと思う。
白石(Ns)
クラーク(RT)
そうですよね。僕たちも「なぜそうするのか」を伝えたいけど、なかなかお互い時間がとれなかったり…。しかも画像に影響がある、というと画像見ないと実感が湧かなかったりするんですよね。そういう点では、救急に入る看護師さんには機会があれば画像を見せて、あの処置をするとこうなるよ、というのを伝えたりしています。
クラーク(RT)
あとは検査独特の時間の流れってありますよね。
よくある上部下部の内視鏡とかも、前日から食事止めて下剤や洗浄液を飲んだりするし、それを含めると検査の準備時間が長いよね。
白石(Ns)
かなこ(Ns)
病棟で働いてた時は翌日内視鏡の検査なのに「薬の中止の確認忘れた!」とかよくあった!
クラーク(RT)
「薬の中止を忘れた」は、あるあるですね…。検査って時間をずらして出来ることもあるんですが、そうなると「今日やる検査によって次の治療方針を決めよう」ということがあると、その患者さんの適切な治療選択が伸びてしまうんですよね。
確かに!特に長いスパンの治療には、小さな積み重ねで大きく期間が伸びてしまったりしそうだね。私は昔、小児科で働いていて、そのときにPET検査とかもあったなぁ。時間が大切という点でいえば、PET検査の時間が14時であれば、薬剤が身体にまわる時間を逆算して薬剤投与をしてもらいに13時とか13:30に検査室に行って、また14時に行く(遅れたらダメ)みたいなことをやっていた記憶がある!
白石(Ns)
想像つく!
喜多(PT)
検査中に体を動かさないように、安全のために小児科ではMRIとかも鎮静かけてやるのが当たり前だったから、成人病棟に行ってから「検査室行ってください~」って患者さんに伝えたら自分で行ってくれるとか、前準備が少なくて楽だなと思ったよ(最初だけ笑)。
白石(Ns)
クラーク(RT)
患者さんの協力もすごく大事になってきますね。準備によって検査の質が左右されるところがあるので、その検査の質がそのまま診療にまで影響しちゃうんですよね。「点ではなくて線で捉える感覚」を大事にしたいですね。
終わってからも検査は続く!?
クラーク(RT)
個人的に思うのは、映像や画像系に勤めている人って「検査の後の影響」を意識してるように思いますね。
と、いうと?
喜多(PT)
クラーク(RT)
記憶に鮮烈に残っているのは、眼科の検査で散瞳をした患者さんが、その後、前がよく見えなくて転倒して骨折したことがありました。検査の影響による副作用、体調変化は医療安全的にもマストですよね。
かなこ(Ns)
散瞳ってそんなに見えなくなるのか‥。
クラーク(RT)
一般的には眼の検査のあとは、眩しくて周囲が見えづらくなりますよね。患者さんが単独で移動しなければいけない時は注意が必要です。
散瞳したあとの患者さんは、その後にリハ予定があっても中止になりますよね〜。
喜多(PT)
クラーク(RT)
ちなみにリハ予定が中止になるのは転倒予防ですか?
転倒予防ももちろんだけど、そもそも運動なんて出来る状態じゃないから実施こ不可能って感じですね。歩いてもらったり筋トレしてもらったり…そういう状態じゃないっていう。わざわざそのタイミングじゃなくていいよね。
喜多(PT)
クラーク(RT)
なるほど!たしかにそういう状態ではない…。
放射線技師の目線から、検査の後にリハはもちろん、看護でも気をつけるべきものって何かある?
喜多(PT)
クラーク(RT)
放射線関係で造影剤を使ったあとは、副作用が起きることは忘れてはいけないですね。造影剤を使用してから5分間が最も副作用が起きやすいと言われています。
5分!
喜多(PT)
クラーク(RT)
その時間に付き添うのは看護師さんが最も多く、造影剤使用後であるという情報と観察が必要です。また、遅発性副作用などについても数日後まで発生したりするので、患者さん自身で何か起きた時に適切に受診できるよう、説明をできるだけわかりやすく伝えられるような工夫が必要ですね。
造影剤直後の副作用ってどんなものがあるの?検査が入っていると、そもそもその前後はガバっと時間を空けることが多いよね。そこまで厳密なリスク管理や副作用に関わったことがないや。
喜多(PT)
かなこ(Ns)
カテしてた患者さんが造影剤のアナフィラキシーでショックバイタルになったっていう経験をしたけど、あれはほんと焦る!
リハが遭遇することはほとんどなさそうやな。よっぽど介助が必要で、手伝ってくれ~みたいなときだけかな(経験ないけど)
喜多(PT)
遅発性副作用はリハさんが関係しそうなところだよね。検査から1時間~数日後に頭痛や吐き気、めまい、蕁麻疹などの皮膚症状が出ることがあるんだよね。ほとんどが一時的なものだけど、そういうものもあるんだというのは知っておいてほしいかも!
白石(Ns)
クラーク(RT)
アナフィラキシーショックなどは、すぐに出るので迅速な対処が必要で焦りますよね!患者さんの様子観察のテクニックも磨く必要があって大変だと思ってます。僕たちも急変時にできることが限られますが、事前に様々なケースを想定しておくといいかなと思います。みなさんありがとうございました!
まとめ
今回は触りの部分を語らいましたが、準備や事後も含めて検査が成り立っていることが伝わりました!ですが、まだまだ奥がふか〜い世界。どんな苦労や楽しさが隠れているか、この記事をきっかけに自施設でもぜひ聞いてみてください!