看護師の生き残りについて語る座談会~後編~

前編(看護師の生き残りについて語る座談会~前編~)では、看護師の今後の需要について、真面目に語っていた看護師メンバーたち。では、今後どうすればいいのかという話を掘り下げていきます!

参加者

 大前(Ns)
男性看護師として病院内でのキャリアアップを目指しているが、女性社会特有の文化にもがき苦しんでいる。

 あみ(Ns)
助産師。なんとなくキャリアの方向性がみえてきたけど、結婚出産でまた絶対変わるよな…と不安に思っている。

 かなこ(Ns)
看護師。キャリアについてあまり考えていない!興味がある分野は経験してみる!なんとかなる!と心のどこかで思っている。

 白石弓夏(Ns)
看護師兼ライターとしてフリーランスと派遣などを掛け持ちして働いている。絶賛キャリア迷子中。

 ふくっち(Ns)
看護師+公認心理師。40歳すぎて看護学校に入学し、看護師になった異端児。今後のキャリアに悩み中。

医療職者もブランド力を鍛える?それぞれのキャリアプラン

私は、看護師として生き残るには、自分の「ブランド力」を上げるしかないなと思っています。白石さんは看護師とライターをされていますが、どんな風に考えていますか?

ふくっち(Ns)

白石(Ns)

フリーランスや派遣の働き方って、もてはやされている感じはあるんですよね。ただ、看護師として今後のキャリアを考えると、今はフリーランスとしてやるのが自分のなかではベスト。だけど、今後ずっと続けられるわけじゃないだろうなと思っています。

かなこ(Ns)

へー。フリーランスの看護師って今後はそうでもない感じですか。

白石(Ns)

今はまだフリーランスで働く看護師が多くはないので、珍しいから注目されやすいですけど、今後増えていったらフリーランスっていう肩書きだけじゃどうにもならないですよね。常勤の看護師でも首を切られるかもしれない…という状況があるとしたら、個人契約やパート、派遣の方が先に首を切られる可能性が高いじゃないですか。なので、私も将来どうしようかなって悩むこともあります。

かなこ(Ns)

そうなんですか!

白石(Ns)

看護師のライターも同じく、今後増えてきたら飽和状態になると思います。今の私は、現場で看護師として働きながらライターをしていることが強みですけど、そうではなくなるかもしれないですよね。看護師としてもライターとしても、プロの仕事として両立していけるように、いまはとにかく下積みって感じです。

かなこ(Ns)

なるほど。大前さんは?

僕は組織にいるうちは、病院の中でいかに利益を生むかが大事かなって思っています。今の世の中の流れとしては、「特定行為」が一番重宝されるんじゃないかなと思うんです。

大前(Ns)

memo

特定行為とは、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる38行為です。

特定行為とは(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.html

かなこ(Ns)

特定行為は、医師と看護師間のタスクシフト、タスクシェアリングとしてできるので絶対重宝されますよね。

そうそう。ただ、看護師の認定看護師や専門看護師、特定行為って割と自己研鑽の範疇でカウントされているところが多くないですか?病院がお金を出すから、特定行為を取ってきてくれっていうところ、あまり多くないですよね。

大前(Ns)

うん、そうかもしれないですね。

ふくっち(Ns)

「あなた行きたいなら、頑張って行ってきてね」って。ここがまだ、看護業界が国の流れと乖離しているんじゃないかと少し感じているんですよ。でも、言葉悪いですけど、認定看護師の方が、手っ取り早く自分にブランドがつく手段なので、簡単にはなくならないと思いますし、利用してもいいと僕は思いますけどね。

大前(Ns)

あみ(Ns)

大前さんは認定を取りにいこうと思っているんですか?

実は認定に行かないかって話、3回断ってるんですよ。

大前(Ns)

あみ(Ns)

えー!集中ケアですか?

集中ケアか救急をとってきてって言われてるんですけど、僕はどっちかというと管理職になりたいんです。認定に行ってしまったら、分野が限られてしまうんじゃないかと思ってたんですけど、最近は考え方も変わってきて認定とってもいいのかなと。救急と集中ケアの認定って2020年度から合併するんですよ。

大前(Ns)

集中ケアではなくなるんでしたね!

ふくっち(Ns)

そうそう、クリティカルケアという名称になるんです。そういう資格を持ってる人間がいないと集中治療加算がとれないとか、救急加算がとれないとかいうことになって、一番簡単に病院に必要な人間になれるわけです。ふくっちさんは、その辺なにか考えていますか?

大前(Ns)

いや、僕は今のところ認定は考えていなくて。一応ブランド力をつけようと思って、今年は公認心理師を受けて、無事に合格したんです。精神科で働いているので、精神心理やコミュニケーションを勉強していると、看護以外のマーケティングにも応用が効くので、受けました。認定とればどこかの病院でリエゾンとして雇ってもらえるかもしれないな…くらいの感覚ですね。

ふくっち(Ns)

かなこ(Ns)

あみさんは助産師さんですけど、どうなんですか?

あみ(Ns)

お産は年々出生数が少なくなっているので、経営が成り立たないと大きい病院に分娩が集約されて、小さい病院だと働けなくなると思うんですよ。あとは、地域でやってる産婦人科医の先生たちの高齢化もですね。海外だと、分娩後2日くらいで退院して、産後のケアを地域で続けていくのが主流になっているので、日本も産後は地域で支援する流れになりつつあります。

かなこ(Ns)

うんうん。

あみ(Ns)

それもあって、産後ケアの能力を高めたいなと今の病院に転職しました。助産師のキャリアだと、大きな病院でハイリスクの分娩をみる人と、産後ケアの母乳や育児支援という人に分かれていく気がします。どちらが自分に合っているか見極めて、その道へ進んでいくというか。

かなこ(Ns)

不妊治療の方へ行く人っていないですか?

あみ(Ns)

不妊治療へいく人もいます。たぶん、それはハイリスクの分野に入っていきますね。大きい病院で働いていて、不妊治療もやってみたいと産科から生殖医療科にいったり、大学院に入り直したりするんでしょうね。

かなこ(Ns)

そうなんですかぁ。

「自分はこういうことができますよ」ってアピールができるのは、今の看護師には絶対に大事ですよね。さて、最後にかなこさんはどうなんですか?

大前(Ns)

かなこ(Ns)

私はオペが好きだから、とりあえず大学病院には残るかな。2025年問題なんかで、中途半端な規模の病院はなくなっていくかもしれないから、やっぱり大きいところでオペ介助をしていきたいなと思います。あまり深くは考えていないですね。

いやいや、ちゃんと考えてますよ!

大前(Ns)

かなこ(Ns)

もしかしたら、手術支援ロボットが発達すると介助はいらない?と考えたんですけど、結局は何かしら生身の人間がサポートしているから、なくなりはしないだろうとは思います。でも、看護師ではない人がやるかもしれないですね。

うちは手術支援ロボット入ってますけど、看護師減らしたかっていうとそんな事ないみたいですね。それにしても皆さん、状況がバラバラなだけに、いろんなキャリアが見えてきておもしろいですね!

大前(Ns)

生き残るヒントは、世の中の流れを知り自分ができることを明確に

人を育てることができたり、自分の価値を認めてもらえるようなポジションにいたり、どれだけ業界に貢献できるかみたいなところが『ブランド力』かなと思いますね。要はこれだけのことができますって明確なほど、組織としても個人としても世の中から求められる看護師として生き残れるんじゃないかなと…。

大前(Ns)

白石(Ns)

そうですね~、私もまだ手探りではありますし、悩んでいる段階ですけど、スキマ産業みたいな気持ちでやっていくかな…と思っています。私は私で。メディッコももちろん!

でも、そういう多様性のある働き方は、今後認められていくと思うので、今のような働き方を示し続けるっていうこともひとつの道かと思っています。個人的には、病院に所属していても、「大前さんがいるからこの病院にお願いしたい!」と思ってもらいたいんですよね。そういうプロ意識を持っていきたい。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

個人を高めるのつらいなぁ。目立たず、ひっそりと勉強していたい…(笑)。

組織としてはそういう人も大事ですよ。黙々と仕事をこなしてくれる、職人みたいな人は看護師の文化として重宝されると思うので。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

あ、私は職人になろうと思います(笑)

白石(Ns)

前編と後編でいろいろと話しましたけど、看護師で働いていると現状を知らない人も多いですよね。こういう現状をキャッチできるように、常にアンテナを張っておくのも大事だと思います。

そうですよね。世の中の流れに目を向けていない人は多いかもしれないです。世の中の流れを汲み取って、キャリアビジョン持つのは大事ですね。あとは、こういう時代だからこそ自分の職場以外の人との接点も積極的にしていってもらいたいですね。

大前(Ns)

雇用されているにしろ、フリーランスにしろ、ブランド力やキャリアビジョンをしっかり持つことは大事ですね。いまはまだ看護師は引く手あまたかもしれないけど、今後はそうじゃないんだよって、できることからやっていきたいです。

ふくっち(Ns)

まとめ
今回は、看護師がこれからの時代を生き抜くために、どうしたら良いか話し合いました。テクノロジーの進歩によって、仕事が機械に置き換わると噂される昨今、看護師に求められる能力はどのように変化していくでしょうか? より人間らしい仕事を機械と調和して行うためにも、看護師としての『ブランド力』はこれからの時代に必要な力かもしれません。日頃からキャリアを意識して学び続けることで、多様な働き方にもうまく適応していきたいですね!