【ハートチーム座談会④】多職種連携のコツとチームビルディング

ハートチームに所属する中島康佑さんをお招きしての座談会第4弾、いよいよ最終回です。前回は、ハートチームの立ち上げから維持、発展させていくときのポイントについてお聞きしました。今回はハートチームの活動を通してみえてきた多職種連携のコツについてお伺いしていきます。

参加者 

・ゲスト

 中島康佑さん(ME)
心臓病センター榊原病院の臨床工学技士。ハートチームの立ち上げに関わり、多職種連携をしながら活動を広げてきた。重症心不全チーム元リーダー(終身名誉リーダー)。

・メディッコメンバー

 須藤(OT)
心臓リハビリにも関わる作業療法士。勤務先にはハートチームがなく、活動内容に興味津々。

 

 大前(Ns)
ICUで勤務する看護師。普段から心臓血管外科や循環器内科の患者さんと関わるがハートチームがどのような役割を担うかまでは知らない。チームの立ち上げ方から動かし方までのノウハウを知りたいと思い参加。

 

 久原(ME)
臨床工学技士として循環器疾患の治療に携わるなかで、ハートチームの存在を中島さんの講演で知った。もっと深く話を聞きたくて参加。

経験の積み重ねが連携の連鎖へ

立ち上げから今までに乗り越えてきた話を聞くと、日々経験を積み重ねていることがよくわかりますよね。

大前(Ns)

もちろん、いろんなところで失敗もしています。異変に気付くのが遅れてしまったこともあります。失敗から追加した項目もあり、この3~4年で付箋は増えましたが、大事なことを忘れないという意味でいい取り組みだと思います。

中島さん(ME)

経験で積み重ねてきたものが、チャート式のように「このような状況ではこうしよう、この項目はチェックしよう」という形になっているんですね。

大前(Ns)

そうですね。

中島さん(ME)

その積み重ねは、一部の職種だけでなく、チーム全体としてなのでしょうか。

大前(Ns)

はい。いつもチームで話し合っていますね。チームでの勉強会も数多く実施しています。ECMO(体外式膜型人工肺)にはレッドブック(ELSOのRed Book)というバイブルがあるのですが、1冊まるまる抄読会を行いました。

中島さん(ME)

須藤(OT)

1冊まるごと! すごい。

ほかにも、PCPSに炭酸水素ナトリウムを入れるべきかどうか、PEEPの設定をどうするのか、といった内容で勉強会も行いました。MEをしていて、それまでは鎮痛・鎮静はあまり考えることがなかったのですが、勉強会を通して、私の考えるきっかけにもなりました。

中島さん(ME)

素晴らしいですね。

大前(Ns)

そういう意味で、多職種連携はおもしろいですね。

中島さん(ME)

いろいろつながっていっていますね。

大前(Ns)

さらに、鎮痛・鎮静の勉強会を通じて、薬剤師とも仲良くなりました。医師たちが困っているとき、薬剤師に相談するという連携にもつながりました。一緒に集中治療学会に行って食事をして、飲み会をする仲です。おそらくハートチームがなかったら、このような機会はなかったと思います。

中島さん(ME)

思いがけない連携の連鎖につながったようですね。

大前(Ns)

そうですね。今では皆、RASS(リッチモンド興奮・鎮静スケール)のチャートをポケットに入れていますよ。

中島さん(ME)

それはやる気のある新人が、カンペとして持っているものですよね(笑)。

大前(Ns)

モヤモヤしている人を見つけて引っ張り上げる

話を聞いていると、どの職種もプロフェッショナルの集まりで、他部署に負けないように頑張っているなと感じます。このようなチームビルディングが行われる前からこのような雰囲気はあったのですか?

大前(Ns)

チームビルディングが上手くいく前は、個々で思っていることはあるけれども言えなかった。でも、チームがしっかりしてきたら、思う存分言える環境になった、という感じですね。

中島さん(ME)

なるほど。言いたいことがあるけど言える環境がなくて、モヤモヤしていた人がたくさんいたんですね。その人たちをとりあえずチームに入れて、走らせてみたら今の状況になったということですね。

大前(Ns)

そうですね。そういうモヤモヤしている人を見つけるのが大事だと思っていて、私は委員会に参加したら、よく発言する人を観察しています。その人が的確なことを言っているか、日頃どういった仕事ぶりなのかを見たうえで、チームに入れていくこともひとつの手です。

中島さん(ME)

久原(ME)

いや~すごい。以前、中島さんを知る医師が、「中島くんは出る杭だったけど、出すぎて誰も叩けなかったんだよ」とおっしゃっていて、それだけやっているんだなと感心しました。

動き出したい人はいるんだけれど、誰が最初に動くかというところなんですよね。うちの場合は、その旗振りを最初にしてくれたのが医師だったので、あとはみんな一緒に動いたという感じです。心不全チームは見学会があるので、機会があれば来ていただけるとおもしろいと思います。

中島さん(ME)

ぜひ行ってみたいです!

大前(Ns)

大事なのはお互いをリスペクトすること!

ちなみに、中島さんが思う多職種連携のコツってありますか?

大前(Ns)

お互いをリスペクトして、素直に言葉に出すことですね。感謝の言葉をかける、労うというのが一番大事だと思うんですよね。ちょっとしたことでも、「よく気付いたね!」と褒めるのが大事かなと思います。

中島さん(ME)

久原(ME)

僕も明日からICUで言おう(笑)。

とにかくいいところを見つけるのって大事ですよね。「なんでこんな管理したの?」 と腹が立つときもありますけどね……。そんなときも頭ごなしに怒るのではなく、その背景にどんな指示があったかというのを考えながら話すようにしています。

中島さん(ME)

うんうん。

大前(Ns)

こういう指示が出てたらそれはこうなるよね。そのなかで一生懸命考えたけれど、医師に止められたんだろうなとか。

中島さん(ME)

久原(ME)

ありますね。

「これ医師が全然見に来てくれていないんだな」ってこともあるじゃないですか。だけど、相手には「それは大変だったね」とまずは労って、「ここをこういう風に切り替えようよ」と解決策を伝えるようにしていますね。

中島さん(ME)

須藤(OT)

まずは労いですね! では最後にまとめとして、ひと言お願いします。

僕はMEの中で、あるべき姿を明確にしようと思いながら、周りにも伝えています。忙しくなると、患者さんのために働いていることを忘れてしまいそうになることもあるじゃないですか……。だけど、患者さんに害になることだけは絶対にやってはいけないと思うので、チームの目的と目標をきちんと設定するべきだと常に思っています。

中島さん(ME)

須藤(OT)

患者さんのためになるように、個人としてもチームとしてもビジョンを持って取り組んでいこうということですね。私たちも忘れずに取り組んでいきたいと思いました。

まとめ
ハートチーム座談会第4弾では、思っていることがあっても言えない、モヤモヤした人を見つけることが、チームを強くするポイントだということがわかりました。また、お互いに思うことがあっても、まずは労いの気持ちを忘れずに接していくことが、多職種連携を円滑にするうえで大切なことだと感じます。ハートチームに限らず、さまざまな多職種連携で活かすことのできる内容だと思いますので、ぜひ参考にしてみてください!