禁煙指導されているけどなかなか出来ないというあなたへ。喫煙しないけど禁煙指導を患者さんにするあなたへ。オペ室で働く看護師が、手術と禁煙の関係について書いてみました。少しでも役に立てばいいなぁと思います。
*このコラムは2015年周術期禁煙ガイドラインや麻酔科医として必ず知っておきたい周術期の呼吸管理を参考に書いています!
喫煙の何が影響しているのか?
タバコに含まれている、一酸化炭素・ニコチン・タールなどの成分は生体に影響を与えます。
・一酸化炭素
酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、血中の酸素含有量を低下させます。それに伴い組織への酸素供給低下を生じさせます。
・ニコチン
交感神経興奮作用や血管収縮作用があり、心拍数の増加や血圧上昇が生じさせます。そのため、心筋虚血のリスクを高めます。
・タール
気道分泌物の増加、線毛運動の低下、気道の易刺激性を高めると言われています。
じゃあ、手術でどんな影響があるの?
喫煙者は、禁煙者や非喫煙者に比べて合併症が多いと言われています。
特に創感染症、感染症、肺の合併症、脳神経合併症やICUへの入室は有意に高いとの報告があります。(Gronkjaer M, Eliasen M, Skov-Ettrup LS, et al. Preoperative smoking status and postoperative complications: a systematic review and meta-analysis. Ann Surg 2014; 259: 52-71)
私は手術室で患者さんを見ているので、術後の細かな経過はわかりません。しかし、手術室で挿管チューブを抜いた後の気道分泌物の量は喫煙している人の方が明らかに多いので、肺の合併症はリスクが高いだろうなぁと感じています。
いつから禁煙したらいいの?
術前の禁煙としては、4週間以上前からが理想とされています。
短期禁煙者(−4週間未満)では、術後呼吸器合併症のリスクは喫煙患者に比べて同等で有意な増加はなく、4週間以上の禁煙で有意に術後呼吸器合併症のリスクが低下すると報告されています。( Wong J , Lam DP, Abrishami A, et al :Short-term preoperative smoking cessation and postoperative complications: a systematic review and meta-analysis.Can J Anaesth. 2012 Mar;59(3):268-79.)
だからといって、手術まで4週間もないから禁煙しなくて良いわけではありません。数日の禁煙でも心筋などの虚血リスクが下げられると考えられており、手術が決まった段階からの禁煙は必要だと思います。
まとめ
禁煙って大変だと思います。
なぜなら私も食後のアイスがやめられないから!(違う)
でもせっかく手術で良くなろうと頑張っているのに手術以外の合併症で入院が長くなったり、何かトラブルがあるのは嫌だよね?だから少しづつでも頑張って禁煙してほしいなぁと思ういち手術室看護師でした。おしまい!