イサミ(Ph)
そういえば昔、地元の新聞で『各地域の方言を話せる職員の名前を、玄関付近に掲示しています』という記事を読んだことがあります…!
白石(Ns)
ホームページのスタッフ一覧に『英語対応可』と書くことはあるけど、方言でそれとは…(笑)。同じ県でも地域によって、言葉が全然違うことがあるのでしょうか…青森あたりがそんなイメージです。
イサミ(Ph)
我が地元函館は青森の隣(海挟み)なので、まさに『津軽弁対応可』みたいな記事だった気がします(笑)。
白石(Ns)
(笑)そういえば、千葉の北東部も東北っぽい方言ってけっこうあるんですよね。ズーズーする=痛みや不快感を表す言葉なんだけど、いまいちその感覚がわからなかったり…。しっかげる=ひっかける、しったでる=持ち上げる、しっちぎる=つねるという似たような方言もよく混乱していた記憶が…(笑)。
坂場(OT)
僕が働いているところでは、「大丈夫?」を「だいじ?」と縮めて使うようです。最初に「だいじ?」と言われたとき、「大事なものがあったの?」と聞いているのかなと思いきや、地元出身のスタッフも使っていてようやく判明しました。
イサミ(Ph)
「だいじ?」!!!大学のとき先輩に言われて、よくわからんかったやつです!(笑)
職種ならでは?!方言からみえてくるもの
みややん(ST)
私たちSTは、言語障害がある方のリハビリをよくするんですけど、「これは方言なのか?それとも言語障害なのか?」という微妙なところの判断が難しいです。なかでも、私たちが行う検査には、標準失語症検査(SLTA)という「聴く」「話す」「読む」「書く」「計算」について評価するものがあります。これはイントネーションも大事で、例えば地方出身のスタッフが言う「ハサミ」のイントネーションを、患者さんが聞き取れなかったことがありました。その地域のイントネーションを伝えたり、検査外であればほかの言い回しを一緒に考えるなどして行き違いがないように注意しています。
イサミ(Ph)
みややん(ST)
言語障害の方と関わるなかで、その方が「使う言葉」はとても大事にしていますね。また「その地域の言葉がわかるか」ということも重要だと思います。
なるほど、言語聴覚士ならでは! そういえば、薬局も一見さんがよく来るので、職場から住んでいる場所はあまり離れ過ぎない方がいい、なんて話も聞いたことがあります。共通の言葉や話題があると、心理的な距離も近くなる気がしますよね。
ぽりま(Ph)
白石(Ns)
ところで、患者さんの言葉の使い方でスイッチが入ったとか、いろいろ判断できることって他の職種もありますか?私が実際にあった患者さんでは、日中は標準語でしゃべるんだけど、夜間せん妄のときには関西弁で騒ぐ…みたいなことがあったんですよね。なので、夕方過ぎからしゃべり方が少し変わってきたな…というタイミングで薬を投与したりしていました。
坂場(OT)
僕は精神科での経験ですが、体調の波によって話し方(方言が出てくることも)が変わってくる患者さんをみることはありますね。一概にすべてのケースで当てはまるわけではありませんが。例えば、境界性人格障害や依存性人格障害の方は、相手との距離感を掴むのが苦手だったり、他者へ依存したりする特徴があるので、自分に対して優しくしてくれそうな人にはとことん甘えて、身体的距離も近く、要求が過度なものになってきます。医療者は介入の線をしっかりと決めて援助するのですが、その際に「見捨てられた」と感じられてしまい、これまでの様子が一転して、攻撃的な言葉で罵倒されるといったケースをみたことがあります。
白石(Ns)
なるほど。精神科の患者さんはもろに話し方が変わってくるんですね。
坂場(OT)
そうですね。解離性障害もいわゆる二重人格のようになって人格によって話し方がまるで違うので、そういうときに方言が出たりすることはあります。精神科の場合には、何かストレスがかかったときに話し方が変わったりするので、本人なりのストレスへの対処行動なのではないかということで対応していきますね。僕は生まれた県で働いているのですが、地域が違うと使う言葉や育ってきた環境も違うので、作業療法を行う上でもどのような環境で育ってきたかは聴取するようにしていますね!
まとめ
方言の壁の話から、職種によっては患者さんの状態を知る上での大切な情報となっていることが分かりました!患者さんが表出する言葉には、その内容以外にも重要な側面があるのかもしれません。こういった他職種の意見を参考に、明日からの臨床に少しでも新たな視点を入れていただければ幸いです!