先日、バーサーカーさんのコラムにて就労サービスの種類が紹介されましたが、その中の《就労継続支援B型》は、「雇用契約を結んでいない」「最低賃金が保障されない」などと聞き捨てならない内容が記載されていました。
本コラムでは、「ええっ、それで働くって大丈夫なの?」という疑問持った人のために、その辺りも踏まえて説明していきます。
そもそも就労継続支援B型とは
厚労省の資料によると、就労Bは ”一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います。”とされています。
つまり、サポートを受けながら働く人が多い場所ということです。
就労B型で「もっと頑張れそう!」となったら、次のステップとして就労A、もしくは移行支援に変更して一般就労を目指す人もいる…というのが大きな枠組みとなっています。
就労継続支援B型の実際と対策
さて、さっそくですがお給料の話。まずは厚労省が出している令和三年のデータを見てください。B型は上の段です。
時給 233円/月給 1万6,507円
利用者は、本当にこういう賃金(工賃と呼びます)で働いているのです。さすがにちょっと低過ぎますよね…。
バーサーカーさんのコラムでは「週に2日利用するなど、利用者自身の体調に沿って利用することができる」とメリットが説明されていますが、フレキシブルに働けるとはいえ、この時給はさすがに低すぎるやん!と思いませんか?
そこで厚労省は、「もうちょっと工賃を出せるようにしよう!」と基本報酬を見直しました。
これにより、平均工賃が高いほど基本報酬(病院でいう診療報酬)が高くなるように設定されました。「働いた人にたくさん工賃を払うと、基本報酬を高くするよ!」ということです。
誰もが「あかんやん!」と思うことに対しては、「あかんよね!」と厚労省も思っているということです。
じゃあ、就労継続支援B型の現場はどうなってるの?
就労Bが工賃を上げるためには、事業所にもさまざまな工夫が必要です。このときに考えておきたいのが、「平均工賃月額」によって基本報酬が決定されるということ。実は、これだと少し不思議なことが起こります。
・毎日フルタイムで働くAさん1人(就労40時間、従業員1名)
・週に一回だけフルタイムで働くB~Fさん5人(就労40時間、従業員5名)
上記のような状況だと、事業所としては同じ時給を工賃として払っていても、基本報酬の基準となる平均工賃は下がってしまいます。
よって、「安定して来れない方はお断り!」みたいな求人広告を打つ事業所も出てくるわけです。就労Bは働くことが難しい方が利用するのに、これだと本末転倒ではないですか…!?
就労継続支援B型の工賃を上げるために
工賃が見直されたとはいえ十分とは言えず、厚労省は引き続き就労Bの工賃を上げるために働きかけています。キーワードは、「基本報酬」と「目標工賃達成指導員」。指導員とはその名のとおり、利用者の工賃を上げるために計画を立てる人のことで、実際に配置することで基本報酬に加算がつくようになります。
ただ、実際に就労Bで工賃を上げるためには、収益を上げなければなりません。就労Bは作業所とも呼ばれるのですが、イメージしやすいところだとパンを焼いていたり、工場の下請けをしていたり、最近では農業やチョコレート作りをやっているところもあります。一般企業でも厳しい業績の中で、就労Bの現場もなかなか苦労しているのが現状です…。
僕からお伝えしたいことは、あなたが住んでいる町や訪れた先でもし「就労Bで作った〇〇です!」という商品を見かけたら、「自分が買うことで利用者の工賃アップにつながるんだ!」と思って、少し手に取ってみてほしいのです。きっと、安くて素敵な商品がたくさんあるはず。障害を持つ方の“働きたい”を実現させるのは、事業者だけじゃなくて、われわれ消費者も関わっているということです!