トラウマ級に歯医者が嫌いだった私が、なぜかスムーズに治療を終えた話

看護師の白石です。タイトルの件について、私自身がご説明しましょう(笑)。先日、数年ぶりに歯医者にかかる機会があったのですが、元々トラウマ級に歯医者が嫌いだった私が、思いのほかスムーズに治療を終えました。自分でも驚きなのはもちろん、これまでと一体何が違ったんだろうと考えてみたら、ひとつの答えに行きついたので、今回はそのお話です。

数年前、とある歯医者でのできごと。

「あ~ここの〇番の歯、虫歯になってるので治療しないとダメですね」

「レントゲン撮らせてください」

「やっぱりここは虫歯になってますね、神経までいってるかも」

「じゃあ治療するので、口開けてください」

ギュイーーーーーン

ガガガガガガーーー

ズボボボボボーーー

思い出しただけでも歯がズキズキしてくる気がする。私にとって歯医者といったら、こんなイメージだ。なんとなく、「今は削られているのかな。あ、これは洗浄されているのかな…」と、やっていることはわかるけど、自分の口の中がどうなっているか見えないので、もう先生にすべてお任せするしかない。

ふぅ…ようやく終わったと思ったら、「また来週来てください」と言われる。次の週に歯医者に行くと、「先週の続きしますね」と、またガガガガガーーーとなんかあちゃこちゃいじられる。「はい、これかんでください」「ちょっと時間置きますね(その後10分くらい放置)」みたいなことを言われて、されるがまま。

極めつけには、親知らずを抜くときになかなか抜けなくて、3人がかりで身体と顔と顎を押さえられ、麻酔をしていてもめちゃくちゃ痛かったため、けっこうな恐怖もあった。

そういう経験ばかりだったので、私にとっての歯医者の印象は、よくわからないまま嫌なことをされるところだった。虫歯の治療が終わったら、なんとなく言い訳をつけて通わなくなってしまう。

看護師としてはちょっとそれどうなのって感じだが、そんなこんなで歯医者のトラウマが植え付けられたところから6〜7年が経ったであろうタイミングで、またあの嫌な痛みがやってきた…。それが、ここ最近のことである。

新たな歯医者でのできごと。

「口内炎かなと思ったけどちょっと違うな。あれ、もしかして虫歯かな」

2〜3日様子を見たが、じんじんとした痛みは消えず、本当に重い腰をよっこらせとあげて近くの歯医者の予約をした。気持ちとしては、ここ数年ないくらいどんよりとした落ち込み具合で、仕事にならないだろうなと、予定していたスケジュールを大きく変更したくらいだ。

対応してくれたのは、以前通っていた歯医者と同じく40代くらいの先生だった。最初の第一印象は、そこまですごく雰囲気がいいとは特に感じなかったが、治療が始まってから少しずつその違いを実感していくこととなる。

「先ほどのレントゲンですが、ここが虫歯になっていますね。ここが神経で…(虫歯の度合いや原因を説明してくれる)」

「この状態だと、治療は1ヵ月以上かかるかもしれません。まずは虫歯のところを削って○○の薬と○○の薬を使って1~2週間様子を見て、それから型をとってかぶせものをして…(今後の治療の大まかな流れを説明してくれる)」

「今日はまず虫歯を削って、薬を入れるところまでしますね。途中、痛みが出やすいところがあるので、その前にはまた声をかけます」

ざっとこんな感じで、虫歯の状況や今後の治療の流れ、それで今日やること、痛みを伴うものの説明をしてくれたのだ。自分としても、今日はこういうことをするんだと見通しがついて、心構えができた状態で治療に臨むことになる。

途中でも「今は口を楽にしてていいですよ」「しみたり、痛みは大丈夫でしたか」「ちょっと薬の臭いがしますよ」などと声かけしてくれていたので、痛みが出たときや気になったことがあったら聞きやすい状況だった。

そして、もちろん一番痛みがあるところでは、「痛みどうですか?今の状態で痛みがあると、これからちょっとつらいかもしれないので、麻酔を使ってもいいですよ」などと声をかけてもらえたおかげで、そこそこの痛みでなんとかその日の治療は終わった。

会計前には「来週は薬を詰めたところを洗って、状態を見てから別の薬を詰めますね」と次回の説明もあったので、それ以降歯医者に行くたびに、「今日は○○をするために来ている」という状態で治療ができているのだ。

また、途中で治療薬の効き具合があまりよくなかったときに、見通しが立たない(人によって時間がかかることも…)という見通しを知らせてくれた。虫歯の治療の合間でやった歯石取りは、けっこうな痛みがあるにもかかわらず(ぶっちゃけ虫歯治療のほうが痛くなかった)、これまでのようなよくわからない不安や怖さはなく、ある程度覚悟して挑めた。

現在は、痛みがあった虫歯の治療が終わっても、他の詰め物が一部とれてしまったところや、あやしい親知らずをどうするかの治療に移っているが、足が遠のくことなくそのまま通院できている。

たぶん、手技的な部分では以前までの歯医者と大差はないと思う。しかし、私でもわかるような言葉で見通しをつけてくれて、途中で状況を確認してくれるような声掛けがこんなにも安心につながるとは思わなかった。

看護師として働いているときも、自分ではなんとなく意識はしていたものの、わかりやすい言葉で見通しを立てること、反対に見通しが立たないという見通しを知らせること、そして現在地・現状を伝えることが大事だなと実感した出来事である。

以上、説明おわり!(笑)

執筆者
白石弓夏 (看護師)

小児科と整形外科の病棟で経験を積み、現在は看護師兼ライターとして奮闘中。病院外でも積極的に働き、いろいろ吸収している。メディッコではポジティブ担当。

Twitter:@yumika_shi