医療現場で各職種が書くカルテ、皆さんは見たことがありますか? 医師や看護師だけでなく、理学療法士や作業療法士などのリハビリ職、医療機器を扱う臨床工学技士にもカルテはあるのです。
看護師と理学療法士に、どんなときに他職種のカルテを見るのか聞いてみました。
参加者
かなこ(Ns)
看護師9年目 内科病棟勤務。略語が多い医師のカルテを読むことに必死!
REN(PT)
理学療法士11年目。カルテが電子化されて、何が書いてあるか読めないという問題から解放された。
喜多(PT)
理学療法士10年目。カルテに書いた自分の字が汚すぎて、震えている。
白石(Ns)
看護師11年目。他職種のカルテを読むのが好き。打ち間違いを見つけては、笑いをこらえながら仕事をしている。
多職種連携への第一歩は他職種のカルテをみること
かなこ(Ns)
今回は、他職種のカルテについて話を聞いてみたいと思います。いきなりですが、リハビリ職は医師のカルテを見ますか? 医師のカルテって、略語が多く、読みづらいですよね。
そうですね、必ずと言っていいほど見ますよ。理解するのは大変ですが、略語を調べることで勉強にもなりますし。
REN(PT)
かなこ(Ns)
医師のカルテに書いてある疾患や略語は、どこまで理解する必要があるんですか?
どこまでっていう線引きはなくて、カルテに書いてあることは理解できないといけないんじゃないかな? リハビリは医師の指示の下で行われるので、医師の見解を知っておくことは必須だと思います。
REN(PT)
喜多(PT)
正直に言って、すべての情報を網羅するのは難しいですよね? それって誰でもできることなんでしょうか。
白石(Ns)
うーん、どうだろう。でも、医師のカルテにはリハビリの処方内容と指示が書いてあるので、最低限そこは絶対に目を通すようにしないとね。確認が漏れたり医師の指示から外れていたりしたら大変だから。
REN(PT)
かなこ(Ns)
私は看護師なので、医師のカルテは毎日見ますが、リハビリのカルテは、術後にどのくらい動けるのか確認するときとか、安静度などの変化があった患者さんに限っていて、毎日見るわけではないですね。時間が限られていますから。
リハスタッフは、初回の介入時に集中して医師のカルテを読むので、毎日見るのは患者さんの体温・血圧の経過と、看護カルテで睡眠や活動の状態を確認することが多いかな。看護師さんの目標や看護計画も見ますよ。
喜多(PT)
たしかに、患者さんの状態だけじゃなくて、他の職種が何を考えているのかを把握するためにカルテを見ることがありますよね。
白石(Ns)
なるほど。何はともあれ、他職種のカルテを見るって、多職種連携の第一歩だと思うんですよね。
REN(PT)
カンファがなくても直接的な対話は必要!
かなこ(Ns)
私はカルテを見るよりも、直接電話で聞いちゃうことのほうが多いです。「〇〇さん担当の方いらっしゃいますか」って。
カルテでわからないところは、直接電話して聞いたほうが早いですよね。
REN(PT)
かなこ(Ns)
私の病院だけかもしれないですけど、リハの人と直接話す機会が少なくて。カンファにリハスタッフが毎回出席するわけでもないので、患者の方針や目標に関してどう考えてるのかわからないんです。
REN(PT)
かなこ(Ns)
例えば、ADLが低下してきている患者さんへのケアで、看護師が考えるゴールとリハスタッフが考えるゴールが違っていることがあると思うんですけど、そういうとき、話し合う場がないとあとあと大変なんですよね。
たしかに、後になって考えのズレが発覚したら、すり合わせていくのに労力がかかりますしね。
喜多(PT)
リハスタッフと看護師が一緒に出席するカンファはないんですか?
REN(PT)
かなこ(Ns)
私の職場では見たことないですね。整形外科じゃないからかな?
カンファも何の目的かによって参加メンバーが変わりますからね。退院時の退院支援カンファは、リハスタッフが出席することも多いですけど、急性期病棟などでマンパワーが限られていると、同席できない事情もありそうですね。
REN(PT)
リハスタッフが普段のカンファに出席する病院もあると思いますよ。とくに最近は増えているみたいなので、もっと広まるとよいですね。
喜多(PT)
かなこ(Ns)
私が所属する病棟でのリハビリは、「手術後にADLが低下しないよう維持していきましょう」っていう廃用症候群予防が主目的なので、看護師が対応しています。離床したり、歩いてもらったり、やることが明確なので、リハスタッフに頼るケースが少ないのかもしれないです。
カンファがなくてもリハビリに直接聞くかなこさんは素晴らしい。いやー、まさに多職種連携ですね!
REN(PT)
かなこ(Ns)
ありがとうございます(笑)。私の病院はそういった高齢者のリハビリ対応が多かったのですが、どこまで回復しそうかとか、ゴール設定などについて、リハスタッフともっと相談できたらよかったかなと、今日の話を聞いて感じました。
気軽に参加できるウォーキングカンファ
僕の病院は回復期なんですけど、毎朝モーニングカンファをしているんですよ。もし疑問を感じたら、その場で聞いてしまいます。
喜多(PT)
かなこ(Ns)
モーニングカンファには、誰が参加しているんですか?
喜多(PT)
かなこ(Ns)
いや、半分ですね。なので、2日で全員回る感じです。このカンファで、ほとんどの情報が取れるので、介入時以外は医師のカルテをあまり見ないですね。だいたい朝15分くらいで30人回る感じです。先生も注意が必要な患者さんは、その場で教えてくれますよ。
喜多(PT)
白石(Ns)
喜多(PT)
かなこ(Ns)
あ、それは私の病院では看護師がやってます。医師はいないですけど。
安静度と患者さんの変化を共有するには、ウォーキングカンファを多職種でできるといいですよね。例えば「最近移乗ができるようになってきたので自立度を上げたい」とか、看護師とリハスタッフで相談できるとスムーズにいきそうです。
喜多(PT)
REN(PT)
だいたいリハビリだけで10~15人くらいですね。大勢ですけど、テレビで見る教授回診みたいに怖い感じではなくて、朝の挨拶周りも兼ねて、軽い雰囲気でやっています。
喜多(PT)
まとめ
時間がない中で、カルテの内容すべてを理解するのは難しいかもしれませんが、他職種の考えを知ろうとすることはとても大切ですよね。皆さんも、時々他職種のカルテをのぞいてみて、わからないことがあれば直接聞いてみましょう。きっと、それが多職種連携の始まりです!
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