国家資格を取得している医療職者達は、それぞれの専門分野の国家試験問題をパスして働いています。
今回は作業療法士(以下、OT)が他の職種に向けて、どんな問題が出題されているのか紹介します!
出題分野が分かれば、OTの職域の理解に繋がり、職場のOTへの理解にも繋がっていくはずです!
2020年における職種ごとの国家試験合格率
まず、2020年の各資格の国家試験合格率を調べてみました。
- 看護師 89.2%
- 薬剤師 69.6%
- 臨床工学技士 82.1%
- 歯科衛生士 94.3%
- 管理栄養士 61.9%
- 言語聴覚士 65.4%
- 理学療法士 86.4%
- 作業療法士 87.3%
毎年合格率の上下があるため、去年の合格率を比較しただけではなんとも言えませんが、作業療法士の国家試験も他の国家試験と類似した合格率を占めており、特別難しい職種ではないことが伺えます。
作業療法士国家試験の問題構成
- 作業療法専門問題が100問(そのうち実地問題が40問)
- 専門基礎分野が100問
合計200問です。それぞれ、半分ずつに割って午前と午後に分けて1日で行います。
たしか大学1年の時、これを知った私は「え!?全部作業療法専門分野じゃないの?」と疑問を抱いていました笑。
今これを書きながら改めて考えると、作業療法は医療職なので「人体の構造」や「疾病の理解」「保健医療福祉」関連のことも理解しておく必要が当然あるのですよね。自分…馬鹿だったなぁ笑。
ちなみに、専門基礎分野の問題は理学療法士(PT)と同じ問題が出題されます!なので、同じ大学の理学療法学科の友達とも勉強していました!精神科の問題も含まれますので、当時から精神科に興味があったの僕はどうしてそうなるのかを説明させられていた記憶があります笑。
出題基準は厚生労働省のH Pにまとめられていますが、まぁ広いです。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/70.pdf
作業療法士国家試験の合格基準
作業療法士の国家試験は実地問題が3点問題で120点、1点問題が155点で、合計275点満点です。そのうち、6割である165点以上を取る必要があります。
しかし!!それだけではいけません。
医師国家試験の様に禁忌肢問題(医師国家試験には禁忌肢という選んだら不合格になる選択肢があるらしいです!)があるわけではありませんが、もう一つクリアしなくてはならないラインがあります。
作業療法士国家試験の実地問題とは
1問3点の問題ですので、大事な存在ということはお分かりいただけると思いますが、120点中43点を取らなければいけません。
計算すると「なんだ、36%を取ればいいのか!」と思いますが、40問中13問以上をクリアしなければなりません。午前と午後で20問ずつ出るので、午前中にクリアできないと思う場合には午後へのプレッシャーがすごいものになります。試験当日に気付いたときには、パニックになります笑。
ちなみに、内容は事例や症例が出題され、作業療法士として働く上での知識が試されます。
実際の例題)
51歳の男性。仕事中に3mの高さから転落し、外傷性脳損傷を生じ入院した。受傷2週間後から作業療法を開始した。3か月が経過し運動麻痺は見られなかったが、日付がわからない、1日のスケジュールが理解できない、感情のコントロールが難しい、複雑な作業は混乱してしまうなどの状態が続いた。
作業療法で適切なのはどれか。
- 静かな環境で行う。
- 新規課題を毎日与える。
- 複数の作業療法士で担当する。
- 不適切な言動には繰り返し注意する。
- 集団でのレクリエーション活動を導入する。
※この例題は55回作業療法国家試験 午前の11問目です。
作業療法士やリハ特有の用語が出てない問題を選んでみました。
まとめ
今回、OTの国家試験について簡単にまとめてみました。実地問題なるものがあること、半分は理学療法士と同じ問題が出ていることなど、あまり知らないこともあったのではないかと思います!
OTとの会話の導入や、これから国家試験を目指している人にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
作業を通じてメンタルを整えていく方法を模索中。教育にも関心を持ち、精神科作業療法の啓発に力を入れています。