メディッコには薬と飲み物の関係やグレープフルーツとの関係についてコラムがあります。ではその他のフルーツジュースにも飲み合わせ(相互作用)に注意が必要なものはあるのでしょうか。いくつかご紹介させて頂きます。
リンゴジュース
リンゴジュースと相互作用の報告がある薬の例として、フェキソフェナジン1)があります。
フェキソフェナジンは抗ヒスタミン薬であり、花粉症等に用いられている薬です。リンゴジュースによりフェキソフェナジンが平常時より体内に吸収されなくなります。そのため期待通りの薬効が出ない可能性が高くなります。少量のリンゴジュースなら影響は少なそうですが、300mLを超えてくるとその影響が大きくなってくるという報告2)がありますので大量に飲む人は注意が必要かもしれません。
オレンジジュース
オレンジジュースも薬との相互作用の報告があります。
アリスキレンという降圧剤との飲み合わせに注意が必要です。オレンジジュースを1日3回、1回200mL飲むとアリスキレンのAUCが38%程度に低下する、という報告3)があります。多くの薬の効果や副作用はAUCに依存するので、かなり大きな影響になるかもしれません。同報告の中ではリンゴジュースでも同様にアリスキレンのAUCが低下することが報告されています。
なぜ起こるのか?
グレープフルーツジュースは薬の代謝酵素の働きを抑制することにより相互作用を起こしていますが、今回の2種のジュースは薬を体内に吸収するトランスポーターの働きを抑制することにより体内への薬の取り込みを阻害しています。
グレープフルーツジュースとは逆に薬の効果を落とす役割を果たしています。
自分の嗜好は言えるように
今回の例のようにグレープフルーツジュース以外でも、薬に影響を与えるフルーツジュースがあります。
「飲んでる薬が効かない?」と思った時、実は自身の嗜好が影響しているかもしれません。
習慣化している嗜好を漏らさず把握していると薬の問題解決の助けになります。ちょっとしたことでも言えるようにしておきましょう。
1) Eur J Clin Pharmacol. 2014 Sep;70(9):1087-95. PMID : 24903351.
2) Clin Transl Sci. 2016 Aug;9(4):201-6. PMID : 27197662.
3) Br J Clin Pharmacol. 2011 May;71(5):718-26. PMID: 21204914.
後発医薬品企業勤務の後、病院薬剤師。いわゆる中小病院で糖尿病・感染症領域を主にうろうろと。